平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

6 海外における電子政府の動向

イギリスの行政サービス全般にわたるポータルサイトの運用など先進的な取組が進展

 我が国同様、海外においても行政事務の効率化、国民への行政サービス向上を目指し、電子政府の実現へ向けた各種取組が推進されている。

1)米国
 米国における電子政府推進は、クリントン政権によるNII構想のアジェンダの1つである「インターネットによる政府情報へのアクセス提供」から始まっている。また、Government Paperwork Elimination Actを策定し、政府において電子ファイルと電子署名の利用を促進するとともに、情報の電子的記録、伝達など政府のサービスの処理にかかわるトランザクション(情報の受発信)について、2003年までにオンライン化を実現することを目標としている。 さらに、米国政府では電子政府計画(“E-GOVERNMENT” INITIATIVES)に基づき、連邦政府の公式ホームページ「FirstGov」を開設した。これは、連邦政府がオンラインで提供する全ての情報である25,000サイト、1億ページ以上を集約したもので、高速検索エンジンを利用して必要な情報を探し出せるデータベースシステムとなっている。FirstGovについては、非営利民間団体によりシステム開発がなされており、企業・大学等からの協力を得ながら運営されている。

2)イギリス
 イギリスでは、99年4月に、全ての行政手続の電子化を目標とした長期プログラムとしてModernizing Governmentを策定している。1999年にGSI(Government Secure Intranet)に全ての省庁のシステムを統合・相互接続したほか、地方公共団体や医療機関への接続も推進し、電子政府のプラットフォームとするための整備に取組んでいる。また、公文書の電子化を推進し、2004年までに新しい公文書については全てを電子化することに加え、容易に検索可能な形で保存することとしている。さらに、2000年までに政府調達手続の90%を電子化するなど、手続の電子化を計画的に推進しており、2005年には全ての行政手続の電子化を実現することを目標としている。

3)シンガポール
 シンガポールでは、Connected Governmentにおいて、行政の情報化を強力に推進しており、マルチメディア・キオスクによる行政サービスの提供、政府電子調達システムの導入などを実施している。中でも、24時間「ゆりかごから墓場まで」個人に係る手続をインターネット経由で提供するワンストップ行政サービスの実現へ向けた、高度政府情報基盤構築が推進され、政府における情報通信インフラの整備が急速に進んでいることが特徴として挙げられる。

4)行政ポータルサイト
 我が国同様、海外の政府においても、行政情報の電子的提供についての取組は電子政府実現に向けた主要課題の1つとして考えられており、各国においてホームページを活用した行政情報の電子的提供が行われている。中でもイギリスでは、2000年12月から3か年計画で事業費2500万ポンドを投じ、24時間オンライン・サービスを目指した行政ポータルサイト「ukonline」()の試験運用を開始しており、情報検索の充実など利用者の利便性を高めるため、様々な工夫がなされている。イギリスの行政ポータルサービスとしては1994年8月から「open.gov.uk」というサイトが運営されているが、「ukonline」ではユーザーネームとパスワードの入力により利用者個人を特定し、事前に登録してある居住地等の情報から個々の利用者のニーズに応じたきめ細かな行政情報の取得が可能となっている。また、「ukonline」において情報検索・案内の対象として取り扱う範囲は、中央政府だけでなく各地方の行政機関等が提供するあらゆる行政情報に及び、国民は何らかの行政情報を得たいと考えた場合には、それがどのようなものであってもまず「ukonline」にアクセスしさえすれば良く、利便性が高い。さらに今後、「ukonline」をインターネット上の総合的な行政窓口としたあらゆる行政サービスの展開を進めることとしており、単なる行政情報提供の電子化にとどまらず、国民に対する全行政機能のウェブ上での構築という先進的な取組となっている。

図表1) 海外の電子政府計画
海外の電子政府計画の概要
図表2) ukonlineの概要
ukonlineの概要
図表3) 主な行政ポータルサイトの特徴

 


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