平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

第8節 情報セキュリティの確立【要旨】

 IT革命が進展し、ITの国民生活・社会経済活動への浸透が進めば進むほど、一度セキュリティに問題が生じた場合に社会経済に生じる損害が甚大となる。既に、これまでにも他人のID・パスワードを窃用して企業等のネットワークやコンピュータへ侵入する不正アクセスの問題や、コンピュータウイルスによる被害が社会問題となり、政府・民間において各種対策を講じ、その防止が図られているところである。 しかし、近年特定サイトのサービス提供を不能にする「DoS攻撃」(Denial of Service:サービス不能攻撃)や、電子メール添付ファイルへの「コンピュータウイルス」の混入による被害の急速・広範な拡大に見られるように、より深刻な被害を生じさせるセキュリティ侵害行為が目立つほか、国民生活や社会経済活動に重大な影響を及ぼす可能性のある攻撃、いわゆる「サイバーテロ」の脅威について指摘されているところである。

 これに対して、企業や個人の対応状況をみると、平成12年度通信利用動向調査(総務省)によれば、まず不正アクセス対策については何らかの対応をしている企業の割合は77.5%に達しているが、内容的にはID・パスワードによるアクセス制御が全体の67.5%を占める一方、より実効性の高いファイアウォールの利用は39.1%にとどまっている。ウイルス対策についても、ネットワーク上の各接続端末にウイルスチェックを導入している比率は58.7%に達しているものの、外部接続の際のウイルスウォールを構築している比率は8.3%にとどまっている。いずれも、より実効性の高いファイアウォール、ウイルスウォールの一層の活用が望まれる。また、個人のコンピュータウイルス対策の状況についてみると、郵送アンケート調査結果によれば、「一応ワクチンソフトを導入している」との回答が35.2%に及んでいるが、最近の電子メール添付ファイルによるウイルス被害の拡大に関し、「メール添付ファイル等はウイルス検査後使用」との回答は15.3%にとどまっている。個人レベルにおいても、コンピュータウイルス対策に関する意識の一層の浸透が望まれる。

 他方、このように社会に重大な脅威をもたらす侵害行為のほか、わいせつ情報や個人のプライバシーを侵害する情報、いやがらせのための情報など、違法・有害情報の社会問題化や、個人情報の漏えい問題など、社会経済活動のネットワーク化にともない深刻化する問題も数多い。
 違法・有害情報については、警察庁発表では平成12年中のハイテク犯罪等に関する相談受理件数のうち約26%を違法・有害情報(わいせつ画像、違法薬物販売等)が占めており、対応が喫緊の課題となっているが、違法・有害情報に対する対応としては、現在インターネット接続サービス等を提供する事業者による自主的対応が中心となっている。また、技術的な対応としては、受信者自身が違法・有害情報の受信を拒否できるよう、フィルタリング(選別)技術の開発・導入が進みつつある。

 また、個人情報保護の問題については、これまで各電気通信事業者の自主的な取組を通じて取り組まれてきたところであるが、平成12年10月に政府全体の個人情報の保護・利用のあり方に対する枠組みについて「個人情報保護基本法制に関する大綱」が個人情報保護検討部会において取りまとめられ、第151回通常国会において「個人情報の保護に関する法律案」が提出されたところである。

 


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