平成13年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

17 準天頂衛星通信システム(8の字衛星)の研究

高仰角・高品質な移動体衛星通信の実現に向けて

 現在、高度36,000kmの静止軌道上には非常に多数の衛星(気象衛星、通信衛星等)が配置されており、静止軌道への更なる衛星打上げは、電波利用・衛星管制等の面で、困難になる可能性がある。このようにひっ迫する静止軌道位置を補完する新軌道を開拓し、高仰角・高品質な移動体衛星通信の実現を目的として、平成11年度から準天頂衛星通信システム(8の字衛星)の研究開発を、通信総合研究所において推進している。
 準天頂衛星システムとは、高度36,000kmの静止軌道を、赤道から約45度傾けた位置に置く衛星通信システムであり、少なくとも3機の衛星を互いに同期して配置することより、常に一つの衛星が日本の天頂付近に滞留するという特徴を持つ。高仰角(地上から見て衛星の方向が高い位置にあること)であるため、建物等による遮へいが少なく、高品質な移動体データ通信や放送、測位が可能となるほか、南半球のオーストラリアでも同等のサービスが可能となる。また、使用する電波について静止衛星との周波数共用が可能となり、周波数の有効利用が図られる(図表1)〜3))。
 平成12年度には、静止衛星との周波数共用技術、衛星アンテナ技術、測位応用を目指した正確な軌道位置計測技術の研究開発を実施した。

図表1) 準天頂衛星通信システムの概要図
準天頂衛星通信システムの概要図
図表2) 衛星直下点軌跡(8の字)の概要図
衛星直下点軌跡(8の字)の概要図
図表3) 準天頂衛星の利用形態図
準天頂衛星の利用形態図

 


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