平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

第4節 国民生活に浸透するIT 【要旨】

 近年の情報通信の高度化は、社会経済や行政活動への影響のみならず、国民の日常的な生活全般にわたって多くの利便をもたらすとともに、生活スタイルや就労形態に様々な変化を生じさせつつある。
 この背景としては、一般家庭へ高速なインターネット接続回線が普及しつつある状況や、ウェブ対応型の携帯電話などの出現により、比較的簡便な操作による手軽なインターネット接続が可能となってきていることがあげられる。そしてこのような情報通信インフラや接続端末の高度化が、インターネット利用ニーズを更に高めていることが考えられる。実際に、パソコン保有者に対してパソコン購入時期とその動機を調べたところ、最近購入した人ほど「インターネットを利用するため」を理由とする割合が高く、この1年以内の購入者では約62%を占めていた。また、パソコンや携帯電話の保有世帯のうち、インターネットへ接続している世帯の割合も1年前と比較して増加している状況にあり、インターネットの利用ニーズがパソコン等情報通信機器の普及率の伸びを維持させる大きな要因となっているものと考えられる。

 家庭や職場などで様々なメディアから大量の情報を取得する現代生活において、その中でインターネットも日常的に利用されるにしたがって、他のメディア等との使い分けなど生活の場でのインターネットの役割や効果について、一定の傾向が生じてきている。インターネット利用者を対象としてウェブ上でインターネットの利用状況についてアンケート調査を実施したところでは、日常生活においてレジャー・観光情報や商品・製品情報、娯楽情報を取得する際には、インターネットを最もよく利用する、と回答した人が最も多かった。インターネットの情報量の多さと範囲の広さ、情報検索の容易さなどの長所が、能動的なこれらの情報取得に適している状況がうかがえる。また、日常生活のどのような場面でインターネットを最もよく利用するのかに関しては、「趣味の情報交換」について高い結果となっているなど、個人的な情報収集や人との比較的気軽なやり取りといった限定的な場面ではインターネットが活用されつつあるものの、これら以外の生活場面へのインターネットの浸透は今後の課題となっている。

 日常的なインターネット利用で平成12年に注目されてきたものとして、いわゆるネット・オークションやオンラインゲームなどがあげられる。これらは、従来の情報取得手段や通信手段の代替としてのインターネット利用とは異なり、実社会にない全く新しい商取引や情報流通の形態としての側面を持つものであり、これらの広範な普及が進むにつれて、インターネットによるライフスタイルの変革が本格化していくものと考えられる。一方で同じく注目されたピア・トゥ・ピア機能による音楽ファイル交換システムについては、音楽コンテンツの著作権侵害の問題が指摘されるなど、従来の社会規範との整合性が問われる事例も生じている。
 また、従来から国民生活の利便性向上に向け、情報通信の導入が図られてきた医療・福祉や就労環境においても、最新のIT導入に向けた取組が官民で進められているほか、地域生活の情報化についても高度な情報通信インフラの整備やインターネットの有効活用の面で様々な進展が見られている。
 今後、このような日常生活でのインターネットの位置付けを引き続き明らかにし、その意義について検討を加えていくことは、社会におけるインターネットの可能性や発展の方向性を考えていく上で重要であると考えられる。

 


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