平成13年版 情報通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く目次の階層をすべて閉じる

第1章 特集 加速するIT革命

1 インターネット利用における地域間格差の現状

パソコンインターネットにおける地域格差に対し、携帯電話・PHSインターネットでは大都市圏への偏り傾向小さい

 全ての国民がITを積極的に活用し、その恩恵を最大限に享受できる社会の実現に向けて、IT社会に参加できる環境・能力の格差(デジタル・ディバイド)を克服し、さらにその格差のない環境(デジタル・オポチュニティ)を整備していくことは、今後の我が国におけるIT政策の最も大きな柱の一つである。そこで、以下では、特にインターネット利用格差に焦点を当てデジタル・ディバイドの現状について実態を把握するとともに、その解消に向けて採るべき方策を探る。

1)地域別の格差
 まず、我が国の地域間におけるインターネット利用(注)の格差について、自宅のパソコン(個人所有の携帯型ノートパソコンを含む)によるインターネット利用(以下、「パソコンインターネット利用」という。)と携帯電話・PHSによるインターネット利用(以下、「携帯電話・PHSインターネット利用」という。)に分けて検証してみる(図表1))。パソコンインターネット利用率については、南関東地域が34.8%、近畿地域が29.1%と高くなっているのに対して、東北地域が15.9%、北海道地域19.7%となっているなど、これら地域では南関東地域の6割以下にとどまっており、大都市圏に偏った利用傾向がみられる。
 一方、携帯電話・PHSインターネット利用については、パソコンインターネット利用と異なり、近畿地域(20.9%)や北陸地域(20.1%)が上位となっており、必ずしも大都市圏の利用が先行しているとは言えない点が特筆すべきところとなっている。

2)都市規模別の格差
 都市規模別にみると、パソコンインターネット利用では、政令指定都市・特別区が最も高く、その他の市部、町村部と都市規模が小さくなるにつれ低下している(図表2))。このことからパソコンインターネット利用は、人口密集地域を中心として利用が進んでいる傾向にあると考えられ、多くの部分が政令指定都市等の人口密集地域である南関東や近畿地域から普及が進んでいる点を裏付けている。
 しかし、携帯電話・PHSインターネット利用では、その他の市部が17.3%と最も高く、次いで政令指定都市・特別区(16.8%)、町村部(14.5%)となっており、それらの間の差もそれほど大きくはない。ここでも、上述の地域別の割合と同様に、携帯電話・PHSインターネット利用は、一般のインターネット利用と傾向が異なることを裏付ける。この原因は明らかではないが、携帯電話・PHSインターネット利用は、パソコンインターネット利用と比較して廉価に、操作の習得が容易に開始できるといった特徴があり、世帯年収別の格差が小さいこと(第1章第5節2参照)や、パソコンのキーボード操作が不得意な人では携帯電話・PHSインターネット利用が多いこと(第1章第1節6参照)などを考え合わせると、これらの特徴がパソコンインターネット利用と比較して普及に格差が生じにくい要因になっているものと思われる。

図表1) 地域別にみたインターネット利用全体/パソコンインターネット利用/携帯電話・PHSインターネット利用の比率
地域別にみたインターネット利用/自宅のパソコンからのインターネット利用/携帯電話・PHSインターネット利用
図表2) 都市規模別にみたインターネット利用全体/パソコンインターネット利用/携帯電話・PHSインターネット利用の比率
都市規模別にみたインターネット利用/自宅のパソコンからのインターネット利用/携帯電話・PHSインターネット利用


(注)本節1〜3におけるインターネット利用に関する比率は、いずれも15歳以上の個人に対する郵送アンケートにおける回答者比率を示し、年代別人口構成比補正は行っていない(第1章第1節のインターネット利用者数推計では、年代別人口構成比による補正を行って算出している。)。
なお、地域区分については以下のとおりである。
北海道地域…北海道
東北地域…青森県、岩手県、宮城県、秋田県、山形県、福島県
北関東・甲信地域…茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県
南関東地域…埼玉県、千葉県、東京都、神奈川県
北陸地域…新潟県、富山県、石川県、福井県
東海地域…岐阜県、静岡県、愛知県、三重県
近畿地域…滋賀県、京都府、大阪府、兵庫県、奈良県、和歌山県
中国地域…鳥取県、島根県、岡山県、広島県、山口県
四国地域…徳島県、香川県、愛媛県、高知県
九州地域…福岡県、佐賀県、長崎県、熊本県、大分県、宮崎県、鹿児島県、沖縄県

 


第1章II第5節 要旨 に戻る 2 インターネット利用における個人属性別格差の現状 に進む