平成13年版 情報通信白書

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第2章 情報通信の現況

第6節 海外の動向

1 米国

世界をリードする米国

 米国は史上最長の好景気を続け、「Digital Economy 2000」において、ITによって生産性の倍増と低インフレを実現し、高度で持続的な成長力・生産力を持つ新時代に突入したことを宣言した。IT革命のけん引役である電気通信分野では、世界最大の市場を抱え、電気通信事業者は激しい競争を展開し、これに対応するためにAT&Tによるケーブルテレビ事業者の買収、AOLによるタイムワーナー買収、マイクロソフトによる通信事業者との提携等業態を超えた競争・提携・統合が進行している。
 こうした中で米国政府は国際社会におけるIT分野でのイニシアチブの確保を目指し、以下の戦略を展開している。

 1996年7月16日付大統領令により、各省庁にIT政策を企画・立案・実施する上である程度の権限を与えられた専任の最高情報責任者(CIO:Chief Information Officer)を置き、その連絡組織としてCIO協議会が設置された。CIO協議会が2000年9月に発表した2001−2002予算年度の戦略計画は、連邦政府によるIT活用の改善を図るため、次の6つの戦略目的
(1) 全国民と政府の生産物・サービス・情報との連結
(2) 互換性がある先進的な全政府規模のITイニシアチブ
(3) 顧客がアクセスし信用できる安全かつ信頼性のある情報インフラ
(4) 目標達成に必要なIT技能と資源
(5) より良い政府を達成するための官民両セクターの協同
(6) 政府の事業・サービスの改善を可能にする投資経営の政策・実践・ツール
を掲げるとともに、分野別に詳細な具体的目標とタイムテーブルを設定している。

1)超高速ネットワークインフラの整備と競争政策
 米国政府は、競争促進こそが超高速ネットワークインフラの全国的な整備に必要なものであるとの確信のもと、主として新規参入の促進と公正な競争環境の整備といった競争政策に注力しており、実際のネットワークインフラの整備は、民間企業が主体となって進んでいる。
 次世代超高速ネットワークインフラの研究開発は、主として次世代インターネットを意識したものとなっており、代表的な計画としてIT2(Information Technology for the 21st Century)がある。本計画は、1999年1月、2000年度予算要求に併せ、情報通信分野の研究開発計画として発表されたが、2001年度予算案において、IT2として8億2,300万ドル(対前年比166%増)が計上され、IT分野の研究開発予算額は23億1,500万ドル(対前年比35%増)に達している。

2)電子政府
 電子政府の進捗状況は、2001年1月に発表された「Leadership for the New Millennium-Delivering on Digital Progress and Prosperity」の中で報告されている。
 報告書では、2,700万ページの連邦政府ウェヴ・サイトを省庁別でなく事項別に検索できるポータル・サイトである「FirstGov.gov」が2000年9月にスタートしたこと、政府調達のオンライン化が大きく進展していること、政府サービスの多くがオンラインで利用できるようになっていること、20の連邦政府機関の40万人以上の職員についてのオンライン・データベースが設置され、国民のアクセスが便利になったことなどが紹介されている。

3)人材育成
 2000年6月、人材投資法に基づき設置され、大統領及び連邦議会により指名された委員により構成される21世紀人材委員会がIT人材育成戦略に関する報告書を発表している。
 委員会は、各界での意見聴取や調査結果を踏まえて、21世紀のIT分野に対応した高度技術労働者を養成確保するため、9つの提言をしている。

4)情報通信ネットワークの安全性及び信頼性
 1998年5月に、重要インフラ保護部(CIAO:Critical Infrastructure Assurance Office)を設立し、2000年1月に情報システム保護のための国家計画を策定している。

 


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