平成13年版 情報通信白書

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第2章 情報通信の現況

2 欧州

IT推進に係る国家戦略eEurope 2002の策定

 EUにおいても、IT推進に係る国家戦略が策定され、電気通信規制枠組みの見直しや電子商取引にかかる法整備など情報通信政策が積極的に展開されている。
 
1)eEurope2002
 EUは、欧州においてインターネットを取り入れるに当たっての障害を克服し、新たな経済への移行を確定的なものとするための条件を整備するため、2000年6月に「電子欧州行動計画(“eEurope2002”)を決定した。
 この計画によれば、EU各加盟国及び欧州委員会は、次の3つの目標を2002年末までに達成するよう結束して対処すべきこととされている。
(1)より安価で、より高速な、より安全なインターネット
(2)欧州市民の技能及びアクセス向上に対する投資
(3)インターネットの活用の奨励

2)電子商取引指令
 EUは、2000年7月に「電子商取引指令」を公布した。同指令は、サービスの移動の自由及び創設の自由というEU単一市場の原則に基づき、「情報社会サービス」がEU全域で提供されることを企図しており、主として以下の5つの事項について規定している。
(1)「情報社会サービス」提供事業者の本拠地
(2)事業者の透明性確保義務
(3)商業通信の透明性要件
(4)電子的契約の締結とその有効性
(5)インターネット接続事業者の責任
 同指令は、EU各加盟国に対し、2002年1月17日までに国内法での移行措置をとるよう求めている。

3)EUによる電気通信規制枠組みの見直し
 2000年7月12日、欧州委員会は、電子通信の新たな規制の枠組みに関する提案を公表した。これは、既存の20以上あるEU法令を整理統合するものである。
 提案された主な法令は、次のとおり。
(1)枠組み指令案
(2)認可指令案
(3)アクセス及び相互接続指令案
(4)ユニバーサル・サービス及び利用者の権利に関する指令案
(5)通信サービスにおける個人データ保護指令案
(6)ローカル・ループのアンバンドリングに関する規則
 今後、(1)から(5)については、2001年末までに成立させ、各加盟国において国内法の措置をとることが求められている。
 なお、(6)については、2000年12月に成立した。

4)ローカル・ループのアンバンドリングに関する規則
(i)EUは、2000年12月に「ローカル・ループのアンバンドリングに関する規則」を公布・施行させた。
 ローカル・ループのアンバンドリング化に関し、欧州委員会は、既に2000年4月に勧告を採択していたが、これまでに幾つかの加盟国においては進展が見られたものの、勧告という非拘束的な手段ではEU全域にわたり十分に調和のとれたローカル・ループのアンバンドル化を達成することが困難であったことから、今回の規則の制定に至ったものである。
(ii)規則の主要点は次のとおりである。
ア 支配的通信事業者に対し、公正で合理的かつ非差別的な条件の下で、そのローカル・ループへの他の事業者によるアンバンドル化されたアクセスを許容するよう求めること。
 これは、支配的通信事業者自身及びその関連会社と同様の条件で、競争事業者が支配的通信事業者のネットワークにアクセスできることを含む。
イ 技術的に可能であればどのポイントにおいても、ローカル・ループへの物理的なアクセスが認められなければならないこと。また、支配的通信事業者の建物内に新規事業者がその接続用設備を設置(コロケーション)するための規定もなされている。
ウ ローカル・ループへのオープンなアクセスに対する価格は、コスト指向でなければならないこと。
エ 事業者は、価格、期間及び条件を含め、ローカル・ループへのアンバンドル化されたアクセスに関する約款(Reference Offer)を公表しなければならないこと。

 


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