平成13年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

3 電気通信利用環境の整備

(3)電子署名・電子認証

電子署名・電子認証制度の構築

 近年のインターネットの急速な普及にともない、電子商取引をはじめ、金融、教育、医療・福祉、行政等、様々な分野における活動が急速にインターネット上で行われるようになりつつあるが、インターネットは、従来用いられてきた専用線等と異なり、一対一の通信経路が確保されないオープンなネットワークであるため、1)相手方が確かに本人であるか(本人性)、2)情報内容が途中で改ざんされていないか(非改ざん性)が明らかではない。こうした、本人性、非改ざん性の確認機能を果たすものとして、電子署名(注1)及び民間認証機関による電子認証(注2)が利用されてきており(図表)、その法的効力を明確なものとする「電子署名及び認証業務に関する法律」が、平成13年4月より施行された。
 同法の制定については、「高度情報通信社会推進に向けた基本方針―アクションプラン」(平成11年4月高度情報通信社会推進本部決定)において、「我が国における認証業務の健全な発展を促し、また電子署名が少なくとも手書き署名や押印と同等に通用する法的基盤を確立するため、国際的な整合性に配慮しつつ、郵政省、通商産業省、法務省が協力して、平成11年度中に認証業務に関する制度整備に着手する」ことが盛り込まれ、3省庁が共同で法案を作成、第147回国会に提出し、平成12年5月において可決された。
 同法では、インターネット等での情報の電磁的方式による流通について、(1)電磁的記録に本人による電子署名が行われているときは、当該記録の作成が本人により真正に成立したものと推定する、(2)認証業務のうち一定の要件を満たすものを特定認証業務と定義し、これを行おうとする者は国に申請を行うことで国から認定を受けることができる、とされている。これにより、例えばインターネット上での商取引において、電子署名及び特定認証業務を行う者が発行する電子証明書が付されている受発注記録の場合、その取引記録が法的な根拠をもったものであることが明確となった。

図表 認証機関を利用した電子署名の形態例
認証機関を利用した電子署名の形態例


(注1)電子署名:代表的な例としては公開鍵暗号方式によるデジタル署名がある。公開鍵暗号方式では、利用者は異なる一対の暗号鍵ペアを作成し、そのうち一つを秘密鍵として自分で管理し、他方を公開鍵として一般に公開する。この方式を用いることにより、利用者はデータを送信する場合、自分の秘密鍵(署名鍵)で暗号化して相手に送信し、相手側は送信者の秘密鍵に対応する公開鍵(検証鍵)を用いて復号化することができる。この場合、公開鍵を用いて復号化できるものは、公開鍵に対応する秘密鍵(利用者のみの管理下にある)により暗号化されたデータのみであることから、秘密鍵を保持する者によって署名が行われたことを確認できる。
(注2)電子認証:第三者が、ある電子署名が本人によって行われたことを証明することであり、公開鍵暗号方式によるデジタル署名について言えば、第三者である認証機関がデジタル署名に用いられる公開鍵の所有者の本人確認を行い、電子署名を発行して証明することとなる。

 


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