平成13年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

19 地球環境計測技術の研究開発

地球環境の変動メカニズムの解明に向けて

 フロンガス等によるオゾン層の破壊は、人間の生命活動への悪影響や、農作物の収量の低下、生態系の破壊等の深刻な影響が指摘されており、緊急にその対策が求められている。また、地球温暖化や熱帯林の減少等の地球規模の環境問題に有効な対策を講ずるためには、これらの現象の詳しい観測・計測による状況の把握、発生要因の解明が不可欠である。電波やレーザー光を利用したレーダーなど情報通信技術の発展によって生み出された技術や得られた知見は地球環境の計測にとって極めて有効であり、地表面や海洋、対流圏から熱圏までの地球大気の総合的な観測・計測技術を開発し、地球環境変動機構の解明に貢献することは極めて意義深いと考えられる。
 このような観点から通信総合研究所では、電波・光の先端的な技術を用いて、水・エネルギー循環、雲・放射、オゾン層微量気体などを人工衛星からグローバルに計測する技術の研究開発、地球環境保全国際情報ネットワークの推進や地球環境のための高度電磁波利用技術に関する国際共同研究等、地球環境の保全・改善・実態把握に向けた研究開発に取り組んでいる(図表)。
 とりわけ、通信総合研究所が基礎技術開発を行った降雨レーダーを搭載した熱帯降雨観測衛星(TRMM)は順調に観測を続けており、地球環境変動機構の解明に有用なデータを我々に送り続けている。また、日米科学技術協定に基づく地球環境のための高度電磁波利用技術に関する国際共同研究は、対流圏から熱圏に至る大気環境の総合計測技術を開発して、これらをアラスカに設置して極域大気の観測実験を行ってきたところである。今後は、電波・光の高度有効利用を目的として、衛星を用いた広範囲かつ高精度で地球環境を測定する技術を確立するとともに、地表に設置するあるいは航空機を用いた新たなリモートセンシング技術の開発を実施する。

図表 地球環境計測技術の研究開発
地球環境計測技術の研究開発

 


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