平成13年版 情報通信白書

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第3章 情報通信政策の動向

3 国際標準化活動の推進

標準化作業の迅速化〜新たな勧告承認手続きの導入等〜

 電気通信分野の国際標準化では、国際電気通信連合(ITU:International Telecommunication Union)が中核的な役割を果たしている。ITUにおいては、電気通信標準化部門(ITU-T:ITU Telecommunication Standardization Sector)及び無線通信部門(ITU−R:ITU Radio-communication Sector)が標準化活動を行っている。

1)ITU-Tにおける取組
 4年に一度開催され、ITU-Tの活動の方向性を決める会議である世界電気通信標準化総会(WTSA-2000:World Telecommunication Standardization Assembly-2000)が、2000年9〜10月にカナダ(モントリオール)で開催された。WTSA-2000では、IMT-2000を含む将来の移動通信に関する特別研究委員会(SSG: Special Study Group on "IMT-2000 and Beyond")の設置、作業方法の見直し、新規及び改訂勧告の承認及び研究委員会(SG:Study Group)議長・副議長の任命が行われた。特に作業方法の見直しでは、今まで勧告の承認手続だけで9か月程度を要し、電気通信技術の急速な発展に十分対応できないおそれがあるため、規制又は政策への影響をともなわない勧告については、SG会合を開催せず電子的な手段(電子メール、ウェブ等)を活用して迅速な勧告承認を可能とする「代替承認手続」(AAP:Alternative Approval Process)の導入が決定した(図表)。前会期(1997〜2000年)のITU-T勧告のうち90%程度が規制又は政策への影響をともなわないものであったことから、今後、ほとんどのITU-T勧告の承認手続きに要する期間が3か月程度に短縮されることが期待できる。また、中小・ベンチャー企業を含め、民間企業のITU-T活動へのより一層の参加を促進するために、ITU-T内の全てのSGでなく一つのSG活動のみに参加可能とするかわりに、通常のITU-Tメンバーよりも分担金額を低く設定した「アソシエート制度」の導入についても決定した。その他、新たに設置されたSSGを含め、14のSGの議長・副議長の任命が行われ、我が国からは7名が議長・副議長に選出された。

2)ITU-Rにおける取組
 ITU-Rにおける勧告承認等の研究活動の評価及び次会期の研究方針の決定となる研究課題の承認の場である無線通信総会(RA-2000:Radio-communication Assembly 2000)が、2000年5月にトルコ(イスタンブール)で開催された。総会では、IMT-2000の無線伝送方式、ITSのシステムであるETC及び安全運転支援のための自動車レーダー等の移動通信分野等に係る技術・運用条件等を規定した勧告が承認された。そのほかに、IMT-2000の高度化及びその次の世代の移動通信システムの検討、成層圏プラットフォームと他業務との周波数共用の研究等、次会期の研究活動に関する課題が承認された。
 また、放送分野では、これまで放送技術に係る研究をSG10(音声放送)とSG11(テレビジョン放送)の二つの組織で行っていたが、放送のデジタル化技術の革新にともない、これら二つの研究分野を区別する意義が薄れてきたことから、SG10とSG11を統合し、新たにSG6(放送業務)とすることが決定された。
 同時に、新たに設置されたSGを含め、7つのSG及び研究計画を担当するアドバイザリーグループ(RAG)の議長・副議長の任命が行われ、我が国からは、4名が議長・副議長に選出された。
 我が国における取組としては、平成13年10月に第4世代移動通信システム(4G)の研究を担当するSG8WP8F会合を日本へ招請することとしている。4Gについては、情報通信審議会において、サービスイメージや伝送速度等の基本コンセプト、実現に必要な研究開発課題等が検討されていることから(平成12年10月諮問、平成13年6月答申)、審議会の成果をWP8Fの本会合の審議に反映させることによって、我が国として、4Gの世界標準化の推進に貢献することとしている。

図表 勧告承認手続の迅速化の概要
ITU-Tにおける勧告承認手続きの迅速化の概要

 


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