平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

3 個人情報保護

個人情報の保護に関する法律案を国会提出

 ITの発展により電子化された情報をネットワークを介して大量かつ迅速に処理することが可能となり、その一方で個人情報の様々な漏えい事例も発生してきていることから、個人情報保護の必要性が一層高まってきている(図表1))。また、ネットワーク社会における電子商取引の発展等を促進するためには、情報の自由な流通が不可欠であることから、利用面の有用性にも配意した個人情報保護のあり方が強く求められるようになっている。
 電気通信分野における個人情報については、郵政省(現総務省)が策定した「電気通信事業における個人情報保護に関するガイドライン」(平成3年策定、同10年改定)、「発信者情報通知サービスの利用における発信者個人情報の保護に関するガイドライン」(平成10年策定)に基づき、電気通信事業者等が自主的にその保護に努めてきている。また、(財)日本データ通信協会では、平成10年4月から、協会内に個人情報保護登録センターを設置し、上記のガイドラインを遵守するなど、適正な個人情報保護を講じている事業者の登録及び個人情報保護マークの付与を行う「個人情報保護マーク」(図表2))付与制度を運営しており、平成13年4月現在、28事業者が登録されている。しかしながら電気通信事業者の保有する顧客情報等の漏えいに関する報道等が相次ぎ、自主的な取組の限界が指摘されている。また、諸外国等においても電気通信分野における個人情報保護に関して法整備が進められてきている(図表3))。

 こうした状況の中、我が国では、平成11年11月に、高度情報通信社会推進本部個人情報保護検討部会において、「我が国における個人情報保護システムの在り方について(中間報告)」がとりまとめられた。この中間報告を受けて、平成12年10月に情報通信技術(IT)戦略本部個人情報保護法制化専門委員会において、「個人情報保護基本法制に関する大綱」が取りまとめられ、本大綱を受け、第151回通常国会において、「個人情報の保護に関する法律案」が提出された。
 一方、総務省においても、電気通信分野における個人情報保護法制の在り方について検討するため、平成11年9月から「電気通信分野における個人情報保護法制の在り方に関する研究会」を開催し、平成12年12月にその最終報告書が取りまとめられた。電気通信分野においては、その公共性に加え、通信の秘密を取り扱う電気通信事業者の責務として、個人情報の保護が図られることに対する国民の期待は大きく、電気通信事業者の保有する個人情報漏えいに関わる事案が社会的に大きな注目を集めたことは、その期待への裏返しであると考えられる。本報告書においては、電気通信分野における個人情報保護に関する「個別法」整備の要否や内容などについて検討し、その必要性を確認するとともに、現時点での方向性として、1)電気通信事業者に対する規制、2)個人(行為者)に対する規制、の2点を具体的イメージとして挙げている。今後、総務省では、「個別法」の整備に向けて、更に具体的な検討を深めていくこととしている。

図表1) 我が国における平成12年度中の個人情報漏えいの主な事例
我が国における平成12年度中の個人情報漏洩の主な事例
図表2) 個人情報保護マーク
個人情報保護マーク(意匠)
図表3) 諸外国等における法整備の現状
諸外国等における法整備の現状

 


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