平成13年版 情報通信白書

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第1章 特集 加速するIT革命

1 インターネットの急速な普及

インターネット利用者は4,708万人、対前年比74%増加

 インターネットの高度利用をもたらすブロードバンド化を論じるに当たり、最初に、その前提となるインターネットの利用状況として、インターネット利用の現況及びインターネット接続サービスの現況について概観する。

1)インターネット利用の現況
 現在の我が国におけるインターネット普及の現況をみると、平成12年末における我が国の15歳以上79歳以下の個人におけるインターネット利用者数は4,708万人と推計され(注1)、平成11年末段階の推計値と比較すると74.0%増となっている(ただし、平成11年末までは15歳以上69歳以下の利用者数推計としており、対象範囲が異なるため厳密な比較ではない。)。また、平成17年(2005年)におけるインターネット利用者数を推計したところ、8,720万人まで増加するものと見込まれる(注2)。なお、ここでは、「インターネット利用者」を、「インターネット(ウェブ又は電子メールのどちらかのみの場合も含む。)を、自宅・自宅外を問わず、パソコン、携帯電話、携帯情報端末、家庭用ゲーム機、インターネット接続機器を設置したテレビ受像機により利用している人」と定義している。
 さらに、総務省が行っている通信利用動向調査によれば、平成12年11月におけるインターネットの世帯普及率は34.0%、事業所普及率は44.8%、企業普及率では95.8%となっており、順調に増加している。
 また、個人のインターネット利用の現況について、その利用の態様別に分析すると、以下のとおりである。

インターネット全体について

○接続端末別
 パソコンによるインターネット利用者数は3,723万人であり、携帯電話・PHSからの利用者数は2,364万人となっている。パソコンの出荷台数の増加にともない、パソコンからのインターネット利用者数は順調に増加しているが、それに加えて、平成11年2月より開始された携帯電話・PHSからの利用者数の急激な伸びがインターネット利用者の増加に与える押し上げ要因となっている(図表2))。

○利用頻度別
 インターネット利用者の利用頻度についてみると、何らかの端末から「ほぼ毎日」インターネットを利用している人は2,593万人であり、これはインターネット利用者全体のおよそ55%にあたる。残りの45%は、「週に数回程度」又は「月に数回以下」の利用者である(図表3))。

自宅のパソコンからのインターネット利用について

○回線別
 自宅のパソコンからインターネットを利用している人について、利用しているアクセス回線の種別をみると、アナログ回線を利用している人が過半数(50.2%)であり、次いで、ISDNによるダイヤルアップ接続(34.0%)、ISDNによる常時接続(東・西NTTのフレッツISDN)(7.4%)となっており、この3つで90%を占めている(図表4))。

○利用場所別
 パソコンからのインターネット利用者の利用場所についてみると、「自宅から」の利用者が最も多く3,066万人、職場からの利用者が1,285万人、学校からの利用者が372万人となっている(図表5))。

2)インターネット接続サービスの現状
 インターネット利用者の増加にともなって、インターネット接続サービス事業者(インターネット・サービス・プロバイダ:ISP)も着実に増加している。
 我が国におけるISP数(総務省への届出数)は、平成12年末現在で合計5,612事業者となった(図表6))。
 ISPのほとんどは、回線を所有する事業者から回線を借り受けてサービスを行う第二種電気通信事業者であり、同年度末には特別第二種電気通信事業者が47事業者、一般第二種電気通信事業者が5,363事業者となり、更に増加が続いている。一方、自ら回線を所有してサービスを行うISP(第一種電気通信事業者)についても、平成12年度1年間で92事業者から202事業者へと倍増している。
 第一種電気通信事業者の急増の大きな要因に、インターネット接続サービスを提供するケーブルテレビ事業者の参入が挙げられ、昨年1年間で新たに112社がインターネット接続サービスを開始している。

3)各国・地域のインターネット普及状況
 世界のインターネット利用者数は、この数年急激な増加を続けている。NUA社が公表している推計によれば、2000年11月現在のインターネット利用者数は約4億710万人に達している(図表7))。
 その内訳をみると、北米が最も多く1億6,712万人(41.1%)、以下欧州が1億1,314万人(27.8%)、アジア・オセアニアが1億488万人(25.8%)と続いている(図表8))。また、国別の利用人口でみると、米国が1億5,384万人、次いで我が国の4,708万人となっている。
 各国・地域における人口に対するインターネット利用者の割合を見ると、25%を超えているのは21の国及び地域となっている(図表9))。スウェーデン、米国、ノールウェー、アイスランドの4か国は既に50%を超えており、以下、香港、デンマーク、オランダと続き、日本は第14位となっている。全体的に、北欧と北米における普及率が高いが、アジア各国・地域も上位に入ってきている(注3)。

図表1) 我が国におけるインターネットの普及状況
我が国におけるインターネットの普及状況 インターネットは順調に普及が進んでおり、平成12年末時点の利用者数は前年よりおよそ2000万人増加の4708万人となり、2005年には8720万人にまで増加するものと予想される。また、従業者数300人以上の企業における普及率は前年から7.2ポイント増加の95.8パーセント、世帯普及率は前年から14.9ポイント増加の34.0パーセントとなっている。
図表2) 端末別にみた個人のインターネット利用者数・比率
端末別にみた個人のインターネット利用者数・比率 平成12年末におけるインターネット利用者4708万人の中でパソコンからインターネットを利用している人は3723万人であり、このうちインターネット利用に際してパソコンのみを用いている人はインターネット利用者全体の47パーセント、2214万人となっている。一方、携帯電話インターネットの利用者は、パソコンなどほかの接続機器と併用している人も含めて利用者全体の50.2パーセント、2364万人に達している。
図表3) 利用頻度別にみた個人のインターネット利用者数
パソコンとカラーテレビの国内出荷台数比較
(参考)パソコンとカラーテレビの国内出荷台数比較
利用頻度別にみた個人のインターネット利用者数
図表4) 自宅のパソコンからのインターネット利用者における利用アクセス回線
自宅のパソコンからのインターネット利用者における利用アクセス回線
図表5) 利用場所別にみたパソコンからのインターネット利用者数
利用場所別にみたパソコンからのインターネット利用者数
図表6) インターネット接続サービス提供事業者数の推移
インターネット接続サービス提供事業者数の推移 インターネットサービスプロバイダの事業者数は、例えば平成9年度末に2661社、10年度末に3365社、11年度末に4234社と毎年大幅に増加しており、平成12年度末には前年度からおよそ1400社の増加となり、5612社となっている。
図表7) 世界のインターネット利用者数
世界のインターネット利用者数の推移
図表8) 地域別インターネット利用率及び利用者数(2000年11月時点)
世界の地域別インターネット利用率及び利用者数(2000年11月時点)
図表9) インターネット普及率25%以上の国及び地域
インターネット普及率25パーセント以上の国及び地域 世界のインターネット普及状況では、普及率の高い国及び地域として、上位からスウェーデン56.4パーセント、ついで米国55.8パーセント、ノールウェー52.6パーセントなどとなっており、我が国は37.1パーセントで世界第14位となっている。


(注1)平成12年末における我が国のインターネット利用者数の推計手法は以下のとおり。
まず、「生活の情報化調査」での郵送アンケート調査において、自宅の内外を問わず、
1)パソコン 2)携帯電話・PHS・携帯情報端末 3)家庭用ゲーム機・インターネット接続機器を設置したテレビ受像機のそれぞれからインターネット(ウェブ閲覧又は電子メールのどちらかのみの場合も含む。)を利用している人の比率を集計し、我が国の年代別人口構成比に合うように補正。これらの各比率について平成12年末時点の全国の15歳以上79歳以下人口(10,351万人)を乗じ、各接続端末(1)〜3))に関する重複分をそれぞれ差し引いた上でそれらを加算してインターネット利用者数4,708万人を算出。
(注2)家庭のパソコン及び携帯電話・PHS等からのインターネット利用については、上の郵送アンケートで「今後インターネットを利用したい」と考えている人を「今後5年以内に利用を始める」人と仮定、また、学校での利用は国内の全ての学校がインターネットに接続された後に全ての生徒が利用、職場での利用は2005年に全ての事務職の人が利用、と仮定した。
(注3)我が国の普及率は、インターネット利用者数4,708万人を平成12年末時点の我が国の全人口推計値12,689万人(「我が国の将来推計人口(中位推計)」(国立社会保障・人口問題研究所、平成9年1月))で除すことにより算出した。 また、NUA社調べは、各国・地域の調査機関等が公表しているデータを取りまとめて同社ホームページに掲載しているもので、調査時期についても異なっているため、本図表における比較はあくまで参考のためのものである。
 なお、各国・地域の調査機関及び調査時期については以下のとおり。
日本 : 「生活の情報化調査」(2000.12)
スウェーデン、米国、香港、デンマーク、オランダ、シンガポール、オーストラリア、ニュージーランド、英国、アイルランド : Nielsen// NetRatings調査(2000.11)
スイス、ベルギー : Nielsen// NetRatings調査(2000.9)
ノールウェー : Norsk Gallup調査(2000.10)
アイスランド : ITU調査(2000.7)
フィンランド : Taloustukimus Oy調査(2000.8)
カナダ : ComQUEST Research調査(1999.12)
バミューダ : ITU調査(2000.4)
オーストリア : Austria Internet Monitor 調査(2000.10)
韓国 : Korea Network Information Center調査(2000.10)
台湾 : iamasia調査(2000.7)
郵送アンケート調査及びウェブアンケート調査について

関連サイト: NUA社(http://www.nua.ie/surveys/how_many_online/)

 


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