平成13年版 情報通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く目次の階層をすべて閉じる

第1章 特集 加速するIT革命

2 電子商取引普及のための基盤整備

インターネット取引の基盤となるシステムの普及に向けた取組を推進

 インターネット上での電子商取引を普及させるためには、本人確認や代金決済など、取引を行うために不可欠な行為を、通常の対面取引と同様の確実性をもってネットワーク上で行いうる環境を整備する必要がある。

1)電子署名・電子認証
 インターネット上での電子商取引等においては、それまで面識のない者同士が相手方と対面しないでやり取りを行うことが多いため、商取引における商品の受注、発送、決済などの際に、その相手方が本当に本人であるのかどうかについて確認する手段が必要である。このため、本人確認の手段として、1)対面で行う商取引の手書き署名や押印等に当たるものとして、暗号技術を基盤としたいわゆる「電子署名」の仕組み、2)押印の正当性を証明する印鑑登録証明サービスにあたるものとして、電子署名が本人のものであることを証明するサービスを行う「認証業務」が必要となる(図表)。
 そこで、電子署名・電子認証の法的位置付けを明確化し、我が国における認証業務の健全な発展、電子署名が手書き署名や押印と同等に通用する法的基盤の確立を図るため、1)本人が行った電子署名が付された電子文書等について、その効力を手書き署名や押印が付された紙の文書と同様に法的に認める、2)認証業務に関し、その本人確認方法等が一定の水準を満たすものについて、国が認定する制度を定めることにより信頼性の目安を提供することなどを内容とする「電子署名及び認証業務に関する法律」が平成12年5月に第147回通常国会において成立し、平成13年4月1日から施行され、国において認証業務に関する認定の受付が開始されたところである。今後は電子署名についての国民の理解を促進するため、その利便性や法的重要性に関する普及啓発が重要となる。また、電子商取引のグローバルな展開を促進する観点から、認証業務に関する国際的な相互承認に向けた政府レベルの取組も重要である。
 認証業務を行う我が国の主な民間事業者では、そのサービスの提供のほか、通信事業者等の一部企業への認証システムの構築販売も行うなどの多角的経営が進んでおり、認証業務に関する法的な枠組みの整備により、電子署名・電子認証市場の今後の大きな発展が期待される。

2)インターネット決済
 一方、通常の取引と同様に電子商取引を行うためには、インターネット上での安全・確実な決済方法の確立が必須であるが、現在、その手法としては「クレジットカード方式」が最も一般的に利用されている。
 インターネット決済に関する国際的な標準化の動向を踏まえつつ我が国のインターネット取引における共通の決済インフラの基礎的環境整備を図るため、平成12年7月に郵政省(現総務省)は(社)日本インターネット決済推進協議会を設立した。本協議会では、クレジットカード会社世界最大手のVISA及びMaster Cardが電子決済を行うための方法や手順として開発した統一規格であるSET(Secure Electronic Transaction)を基盤として、クレジット決済等について標準化作業を推進しているところである。
 また、現実に流通している貨幣価値に裏付けられた電子的な価値情報を支払の手段として利用するもので、次世代の電子決済の方法として注目される「電子マネー」についても、現在各種実証実験が実施されているが、今後も汎用的かつ効率的で利便性の高いインターネット決済手法の実用化に向けた取組を進めていくことが、一層の電子商取引普及に向けて重要である。

図表 電子署名・電子認証の仕組
電子署名・電子認証の仕組

 


1 電子商取引の促進に向けた新たなルールの構築 に戻る 3 電子商取引に対する安全性確保 に進む