平成8年版 通信白書

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コラム

コラム1 文字放送10周年

 文字放送(文字多重放送)は、昭和60年11月、NHK等により開始されて以来、7年度で10周年を迎えた。現在では全国で 500以上の番組が放送され、着実にその普及が進んできている。
 また、郵政省でも、昭和61年の文字多重放送設備の整備に対する財政投融資による支援措置の創設、3年の「放送局の開設の根本的基準」の改正による新規参入の促進、5年の「身体障害者の利便の増進に資する通信・放送身体障害者利用円滑化事業の促進に関する法律」に基づく字幕番組制作に対する助成金交付制度の創設等の普及に向けた取組を行い、文字放送の普及を推進してきた。
 文字放送は、近年、文字放送受信機の普及が急速に進み、一般家庭への普及が著しい。これは、家電メーカーがワイドテレビの付加機能として文字放送に注目し、文字放送チューナー内蔵テレビを普及価格で発売したことが大きい。ある家電メーカーでは、発売半年で8万5千台を出荷し、ヒット商品となった。文字放送チューナー内蔵テレビと専用チューナーを合わせた文字放送受信機普及台数は、6年末で93万2千台と、昨年末に比べ、13.4%増と急激な伸びを示している。
 文字放送には決まった放送時間がなく、内容が随時更新されながら繰り返し放送されているので、文字放送は、見たい時に見たい番組を視聴することができるという「随時性」と「選択性」というメディアとしての特性を併せ持っている。7年1月の阪神・淡路大震災の際には、これらの特性が活かされ、現地の被災者に対し「ライフライン復旧情報」、「救援物資情報」等の生活関連情報を提供するなど、文字放送は大いに貢献した。
 文字放送の一種に字幕放送があるが、通常の文字放送番組がテレビ番組とは独立した静止画像で放送されているのに対し、字幕番組は、テレビ番組に連動して、テレビ画面の下部にドラマのセリフ等を字幕で表示する番組である。現在では、NHKの全ドラマ番組に字幕番組がつくなど、字幕番組の番組数、放送時間数が拡大してきており、聴覚障害者等に喜ばれている。
 さらに、文字放送は、デジタル信号による放送なのでコンピュータとの親和性も高く、コンピュータを媒介とした幅広い利用の道が開けており、今後のマルチメディア時代の先駆けとしての新しい双方向サービスの提供も、近い将来可能になると見込まれている。
 なお、文字放送は10周年を機に、今以上に人々に親しまれ発展していくことの期待を込めて、愛称が一般の人々から募集され、「モジネット」に決定された。

 

文字放送受信機普及台数の推移

 

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