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ボーダレス社会やマルチメディア時代において我が国経済力の維持・向上及び消費者の利益を図る観点から、情報通信市場の一層の活性化を促進するためには、国際的な動向も踏まえつつ、21世紀に向けた我が国の情報通信産業の将来像を検討する必要がある。 そこで、郵政省では、6年12月から「21世紀に向けた新しい情報通信産業の将来像研究会」を開催し、世界の情報通信戦略の調査や我が国の競争実態の検証を行うとともに、21世紀に向けた新しい情報通信産業の将来像を検討してきたが、7年10月、報告が取りまとめられた。その概要は次のア〜ウのとおりである。 ア 新しい情報通信産業の将来像 [1] マルチメディアは、情報通信インフラ、情報受発信機器及びコンテントの三つの要素から成り、この三つの要素に基づいて、既存の製造・サービス業が新事業を創出したり、新しいネットワークビジネスが成長したりすることで、多様な新しい事業が創出されていくものと予想される。 [2] 情報通信分野においては、今後、異業種の融合が展開されていくことが予想されるが、融合の形態には、例えば通信事業者とケーブルテレビ事業者の提携といった情報通信インフラの分野内での融合のような、各要素内における「水平的融合」と、例えば通信事業者とコンテント事業者の提携といった情報通信インフラとコンテントの融合のような、三つの要素間の「垂直的融合」の2通りがある(第2-2-3図参照)。 そして、このような異業種の融合によって、ユーザーの高度なニーズをより的確に充足できる情報通信の実現が可能になるものと期待される。 [3] 情報通信インフラを利用したインターネットのようなユーザネットワークの発展のためには、情報通信インフラが誰に対してもオープンで、使いやすく、低廉な料金で提供されることが望まれる。また、光ファイバ網の整備が競争的に行われるためにも、情報通信インフラ自体の競争促進が重要な課題となっている。 イ 多元的な競争軸の形成と独占的地域通信網の取扱い 新事業の創出、異業種の融合の進展が真に市場のダイナミズムの創出につながるためには、また、研究開発力や国際競争力の向上のためには、多元的な経営主体が相互に競争を行うこと、すなわち、多元的な競争軸の形成が必要である。 しかし、独占的な地域網の解消が、多元的な競争軸の形成の観点から、大きな課題となっている。 ウ マルチメディア時代の利用環境の創出 情報セキュリティの確保、ソフト流通の円滑化等、マルチメディア時代の利用環境を創出していくことが必要であり、行政の果たす役割としては、民間への支援制度の充実、情報通信ユーザーとしての先導的役割、競争促進政策の積極的な展開等の政策環境の整備等が挙げられる。