JavaScript対応ブラウザで表示してください。
ア マルチメディア移動体通信に関する検討 近年、社会・経済に新たな高度化をもたらすものとして、音声、データ、動画等の多様なコンテントを扱うシステムの導入とともに、通信のパーソナル化が一層望まれており、これらのニーズに対応可能なマルチメディア移動体通信への期待が高まっている。しかしながら、移動体通信分野は、光ファイバ等の有線系の通信分野に比べ、マルチメディアへの取組が課題となっており、今後本格的に検討を進める必要がある。 このような背景から、移動体通信のマルチメディア化を推進するため、郵政省では、6年8月から「マルチメディア移動体通信に関する調査研究会」を開催し、マルチメディア移動体通信の適用領域、移動体通信システムのマルチメディア化の進め方等について検討を行ってきたが、7年4月、報告が取りまとめられた。 本報告では、マルチメディア移動体通信の概念を「いつでも、どこでも、だれとでも」に加え、「どんな情報でも」を可能とするものとし、第2-4-2図に示すように移動体通信システムの技術開発目標を提示しており、その実現のため、次の(ア) 〜(エ) の提言を行っている。 (ア) 技術開発の推進方策 マルチメディア移動体通信システムの実現に向けた技術開発を進めるため、利用可能な周波数が早期に明確化されることが必要である。特に、準ミリ波帯、ミリ波帯の移動体通信への適用はまだ緒に付いたばかりであり、デバイス等の開発に向けターゲットを明らかにすることが必要である。 (イ) 標準化方策 今後の移動体通信システムの開発に当たっては、開発段階から国際的にコンセンサスを形成しつつ、システム構築及び国際標準化を進めていくことが肝要である。特に、日米欧の3極で進みがちな国際標準化の場にアジア地域等の要望をくみ上げることが今後必要である。 (ウ) 国際協力の推進 国際化の進展に伴い、今後、世界のどこででも使えるシステムに対するニーズはますます増大する。また、アジア地域等においては有線系に比べ比較的安価に整備できる無線通信へのニーズが急増しており、今後のシステム開発においては、近隣諸国等からの要求条件を踏まえた仕様の検討、国際標準化を進めることが必要である。 (エ) 普及方策 ユーザニーズを正確に把握するため、実証的な実験・評価を積極的に実施し、より必要とされる機能、より人にやさしいインターフェースを開発することが重要である。また、多様なコンテントの構築に対する積極的な公的支援、国や地方公共団体によるマルチメディア移動体通信システムの積極的導入等により、マルチメディア移動体通信の普及の土壌を育てていくことが必要である。 イ マルチメディア移動体通信技術の施設等整備 7年度第一次補正予算により、通信・放送機構において、準ミリ波帯程度の周波数を使用する無線伝送実験設備、コンピュータシミュレーション設備等マルチメディア移動体通信技術に関する研究施設・設備の整備を完了した(第2-4-3図参照)。