平成8年版 通信白書

本文へジャンプ メニューへジャンプ
トップページへ戻る
操作方法


目次の階層をすべて開く 目次の階層をすべて閉じる

第3章 情報通信が牽引する社会の変革―「世界情報通信革命」の幕開け―

 インターネットの普及をはじめとする情報通信の高度化によって、ネットワークを通じて、双方向、高速、マルチメディアの情報流通が実現されることにより、情報の自由な創造・発展・共有化がグローバルなレベルで行われ始めている。
 これにより企業活動や就業形態、国民生活、地域社会、国際社会等のあらゆる分野で、大きな変革が起きつつある。特に、従来の工業化社会では不利な立場に置かれていた個人・小規模組織、過疎地域、開発途上国等に、これまでの立場を逆転させる可能性も与えつつある。21世紀を目前に「世界情報通信革命」とも呼ぶべき大きな変革が始まりつつあるといえる。
本章では、このような「世界情報通信革命」が既に幕を開けつつある現状を、紹介・分析していくこととする。
 世界の情報通信においては、グローバルネットワークとしてのインターネットの急速な普及や、米国の1996年電気通信法の成立、EUの1998年を期限とする音声電話サービス・電気通信インフラの完全自由化、アジア・太平洋地域各国における移動通信の本格的な導入やアジアサットによる国境を越えた衛星放送等、ダイナミックな進展・変革が起こっている。海外においては、このような国内市場における企業間の活発な競争、業種を越えた提携を通じたダイナミズムが、ボーダレス経済の中の激しい国際競争に対応する競争力強化を促し、企業のグローバルな戦略的展開の動きに結びついている。
 このような世界の情報通信のダイナミックな展開の中で、我が国においても、産業・経済活動に関して、情報通信を活用した新しいビジネス・スタイルが登場し、小規模組織でもグローバルなビジネス展開を可能とし、規模の格差を越える活力がもたらされている例がある。また、情報通信産業自身の成長・変化も著しく、新規産業創出をもたらすなど、我が国経済の成長に大きな貢献をしている。
 一方、情報通信の高度化は、産業・経済活動のみならず、社会生活に対しても、大きな変革をもたらしている。テレワークの登場によるライフスタイルの変化などである。また、これらの情報通信手段により、過疎地域、地方都市等においても活力が出てきている。物理的な国土空間を越えた情報空間が出現し、新しい国土概念が展開しつつあると言える。
 以上のように、情報通信の高度化がもたらす社会の変革の大きさを考えると、その変革をより望ましい方向へ導き、促進するために、社会の各分野で積極的に国際的視野の下に、情報通信の高度化を推進していくことが重要である。
 特に米国とは情報化の状況に格差があり、情報通信市場のダイナミズムの創出等を通じて、情報通信の高度化を一層推進していく必要があり、そのために、郵政省としても情報通信の高度化に向けた「中期計画」の策定、「第2次情報通信改革」の推進等に取り組んでいる。

 

(6) アジア・太平洋地域における標準化の推進 に戻る 第3章第1節 世界の情報通信のダイナミックな展開 に進む