平成8年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

第8節 21世紀に向けた技術開発・標準化の推進

 1 情報通信の高度化・多様化を支える技術開発の促進

  (1)  情報通信分野における先端的技術の研究開発課題

 ア 情報通信先端技術開発プログラム
 郵政省は、6年6月、電気通信技術審議会に「情報通信分野における先端的技術の研究開発課題と推進方策」を諮問したが、7年6月、同審議会から「未来創造型技術立国に向けて-情報通信先端技術開発プログラム-」と題した答申を受けた。
 本答申においては、我が国の情報通信技術の研究開発を取り巻く状況として、[1]民間の研究開発投資は4年以降減少傾向にあること、[2]情報通信分野における我が国政府の研究開発費は米国の約8分の1の規模であること等が述べられ、次に21世紀に向けて取り組むべき先端的な技術課題を情報通信の7つの分野、 293課題について調査し、そのうち新産業の創出等の観点から特に重要な53課題を抽出し、これら53課題を我が国の将来を左右する喫緊の課題としてとらえ、国が先導し計画性をもって緊急かつ強力に研究開発を推進することが必要であると指摘されている。
 そして、国が早急に取り組むべき重要な施策について、[1]情報通信分野の研究開発費と研究要員の大幅な拡充への努力、[2]産学官が一体となった総合的研究開発体制を新たに整備するための研究開発方策の早急な実行等が提言されており、具体的には、国の研究機関による重点分野(災害対策等に寄与する公共性の高い分野の技術等)の積極的推進、国の研究機関の組織・定員と試験研究費等の拡充、産学官連携のための研究者招へい・派遣制度の創設等、ベンチャー企業等民間支援のための研究開発債務保証制度の創設等が述べられている。
 イ マルチメディア時代に向けた情報通信産業における研究開発の在り方に関する検討
 郵政省は、21世紀の高度情報通信社会の構築に向けて、事業者、メーカー等における研究開発の在り方を検討するため、6年11月から「マルチメディア時代に向けた情報通信産業における研究開発の在り方に関する研究会」を開催してきたが、7年9月、その報告が取りまとめられた。本報告において、研究開発の一層の活性化に向けて重要なものを挙げている。主な内容は次のとおりである。
[1] 情報通信は、生産性の向上や労働時間の短縮を可能とし、企業における組織や雇用の変化をもたらすと期待され、その発展を支える研究開発を一層活性化することが重要である。
[2] 情報通信分野は、小型化・大容量化・高速処理技術等の進歩に支えられ、急速に進展しているが、情報通信の利用者が使いやすい人間重視の情報通信技術の研究開発が重要である。
[3] 世界レベルの科学技術の発展への貢献を行うことが重要である。
[4] 国際競争力の向上、市場のニーズと情報通信技術の変化への柔軟な対応等により国内外の新たな研究開発成果をダイナミックに取り入れることが重要である。
[5] 国としても国際連携の促進、国際標準化への積極的な対応、基礎的・先端的研究開発の推進等の施策を講じていくことが重要である。
 ウ 情報通信技術に関する研究開発基本計画の策定
 情報通信技術の研究開発は、ゆとりある豊かな国民生活の実現、国際社会への貢献等我が国の課題を実現するための基盤をなすものである。しかしながら、これまでの情報通信技術は海外に大きく依存しており、今後、技術創造立国を築いていくためには、従来の欧米先進国追随から世界をリードする研究開発へ転換することが必要である。
 そこで、電気通信技術審議会答申「未来創造型技術立国に向けて-情報通信先端技術開発プログラム-」を踏まえ、情報通信技術の研究開発について、光通信、宇宙通信、移動通信、放送等の幅広い分野を総合的に、また、基礎研究から応用・開発研究までを計画的に推進していくため、郵政省は、8年1月、電気通信技術審議会に「技術創造立国に向けた情報通信技術に関する研究開発基本計画」について諮問を行い検討を行っているところであり、8年5月ごろ答申を受けることとしている。

 

 

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