平成8年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

2 国際機関等における積極的な取組及び貢献

 (1)  APECの動向

 APECは、域内の成長と発展の持続、開かれた多角的貿易体制の推進強化、貿易・投資における障壁の排除等を目的とした構想であり、その討議の場としての閣僚会議は1989年以来毎年開催されている。
 1995年5月、韓国のソウルにおいて第1回電気通信・情報産業大臣会合が開催された。この会合では、域内の情報通信基盤整備のための協力強化について合意され、これに基づく「APIIのためのソウル宣言」が採択されるとともに、同宣言に基づき合意された共同声明が採択された。
 APIIのためのソウル宣言に盛り込まれた5つの目的及び10の原則の概要は、次のとおりである。
〔5目的〕
[1] 各地域における、相互接続され相互運用可能な情報通信基盤の構築及び拡大の円滑化
[2] インフラストラクチャの開発における、各加盟国及び地域間の技術協力の奨励
[3] 情報の自由かつ効率的な流通の促進
[4] 人材の交流及び育成の促進
[5] APIIの発展に望ましい政策及び規制環境の創出の奨励
〔10原則〕
[1] 各加盟国及び地域が、それぞれの現状に基づいて、域内の電気通信及び情報通信基盤の構築を行うことの奨励
[2] 競争先導型の環境の促進
[3] ビジネス及び民間セクターの投資及び参加の奨励
[4] 柔軟な政策及び規制の枠組みの創出
[5] 各加盟国及び地域間の協力の強化
[6] 先進国及び発展途上国間におけるインフラストラクチャ格差の是正
[7] すべての情報提供者及び利用者のための公衆電気通信ネットワークへのオープンかつ無差別な接続の、各加盟国及び地域における法律及び規則に従っての確保
[8] 公衆電気通信サービスのユニバーサルな提供とアクセスの確保
[9] 文化及び言語の多様性を含む内容の多様性の促進
[10] 知的所有権、プライバシー及びデータの保護の確保
 APIIのためのソウル宣言及び共同声明とも、内容的には参加各メンバーからの支持を得た我が国の主張が随所に反映されており、また、我が国の郵政大臣が提案した国際的なプロジェクトについては、参加各メンバーの多大なる関心が示されるなど、我が国のリーダーシップが発揮された。
 その後、1995年11月、大阪市において第3回非公式首脳会議が開催され、「大阪行動指針」を採択した。大阪行動指針は、1994年11月に採択されたボゴール宣言における合意内容の実現のための指針である。大阪行動指針のうち情報通信分野については、先にソウルで開催された電気通信・情報産業大臣会合における共同宣言を受けて、1995年9月、上海において開催された電気通信ワーキング・グループにて詳細を確定したアクション・プログラムに基づき作成されたものである。
 APEC各メンバーは、大阪行動指針に基づき、貿易・投資の自由化、円滑化について個別行動計画を作成し、高級事務レベル会合等での協議を経て、1996年11月の第4回非公式首脳会議に提出することになっている。

 

 

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