平成8年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(6)  宇宙通信技術開発の推進

 ア 宇宙通信システムの将来像と今後の研究開発の推進
 郵政省は、7年1月、電気通信技術審議会に対して、「宇宙通信システムの将来像と今後の研究開発の推進方策」について諮問を行い、同審議会では「宇宙通信開発委員会」を設置し、審議を行ってきた。同委員会では、7年2月から5回の審議を重ね、7年6月、中間取りまとめを行い、電気通信技術審議会に報告した。
 この中間取りまとめは、宇宙通信の現状と将来展望及び宇宙通信技術の研究開発の現状と今後の動向等について概括的な整理を行い、当面取り組むべき研究開発とその推進方策についてまとめたものである。
 その後、同委員会において宇宙通信システムの将来像及び今後の研究開発課題を明確化した上で、今後必要とされる技術の宇宙実証や宇宙通信利用技術の開発等、研究開発の推進方策や衛星通信の普及促進方策について審議が行われており、郵政省は、8年5月ごろに電気通信技術審議会から答申を受け、今後の宇宙通信の研究開発等の各種施策に反映していくこととしている。
 イ 通信放送技術衛星(COMETS)
 我が国の社会経済の発展に伴い、宇宙通信に対するニーズは今後一層増大し、かつ高度化・多様化していくものと考えられる。
 通信放送技術衛星(COMETS)は、9年度夏期の打上げを目標に2年度から開発されている衛星で、高度移動体衛星通信技術及び高度衛星放送技術等の技術開発及び実験・実証を行うことを目的とした衛星である。
 具体的には、衛星通信の分野では、高度移動体衛星通信システムに関する技術開発、衛星放送においては、地域別衛星放送、大容量ISDB(統合デジタル放送)及び立体テレビ放送等に関する技術開発が課題となっており、COMETSを利用してこれらの課題に取り組むこととしている。
 7年度は、郵政省通信総合研究所において、地上実験設備及び主局実験設備の研究開発を行うとともに、宇宙開発事業団が行う搭載機器のプロトフライトモデル試験に対する支援及び試験結果の評価を行った。
 また、郵政省では、科学技術庁と協力して、7年3月から、高度移動体衛星通信システム、地域別衛星放送、大容量ISDB(統合デジタル放送)及び立体テレビ放送に関する実験計画の策定、実験結果の評価・検討などを有効かつ効率的に推進するため「COMETS通信・放送実験推進会議」を開催している。
 ウ 技術試験衛星
 (ア)  技術試験衛星VI型(ETS-VI)
 技術試験衛星VI型(ETS-VI)は、6年8月に打ち上げられたが、アポジエンジンの不調により、静止化が断念されてだ円軌道に投入され、運用上の工夫を行い、各種の実験、性能確認を行ってきた。
 8年1月、大型静止三軸衛星バス技術の確立、衛星間通信等の今後の高度な通信技術に必要な成果を得ることができたので、定常段階を終了することとした。
 (イ)  技術試験衛星VII型(ETS-VII)
 技術試験衛星VII型(ETS-VII)は、二つの宇宙機が軌道上で接近、結合するためのランデブー・ドッキング技術や宇宙環境下で各種作業を行うための遠隔操作型宇宙用ロボット技術及びデータ中継衛星を利用して、地上から宇宙機を操縦するための高度な運用技術の修得を目的として、9年度夏期に打ち上げる予定の衛星で、郵政省は、関連する研究を2年度から行っている。
 エ 陸上移動体衛星通信及び移動体衛星音声放送システムの研究開発
 郵政省では、21世紀初頭に実現が予想されるSバンド移動体衛星通信システム、Sバンド移動体デジタル音声衛星放送に必要となる衛星技術の研究開発及び宇宙における実験・実証を目的とした衛星の研究を4年度に手した。13年度ごろに宇宙実証を行うことを目標にミッション機器の研究開発を行っている。

 

 

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