平成8年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(9)  郵便システムの技術開発推進

 郵政省郵政研究所では、21世紀の郵便システムを目指した技術開発を促進するために、本省関連部門との密接な連携を保ちつつ、郵便処理の自動化のための技術開発及び郵便事業高度化のための情報通信に関する技術開発を行っている。7年度では主として[1]〜[7]のような研究を行った。
[1] 郵便物あて名読み取りの高度化を目指し、複数の文字認識アルゴリズムの組合せによる認識複合化方式の研究を推進している。具体的には、これまでに実施した手書き数字及び漢字を対象とした文字認識技術コンテストの結果の分析をもとに、7年度は、より広範囲な数字認識手法の組合せ評価、漢字複合化の実現方式の研究を実施した。また、6年度から研究用として提供してきた手書き数字データベース「IPTP CDROM1」を用い、最新の技術動向の把握のための認識技術調査を国内外の研究機関を対象として実施した。
[2] 配達準備作業の最終段階である道順組立作業(郵便物を配達順に並べ替える作業)は、区分作業に比べ、機械化が進んでいない。このため、5年度から、道順組立の自動化に関する研究を進めており、7年度は、小型で作業性の高い、完全自動化した道順組立機を目指し、自動再供給機構を備えた道順組立機の試作を行った。
[3] 郵便処理の計画業務における様々な意思決定を、熟練者の知識・経験を生かしつつ、より最適にかつ迅速に行うことが可能となるよう、7年度は、OR等の手法を用いた意思決定支援に関する研究を6年度から継続して推進している。さらに、7年度から、配達区画調整・配達経路決定支援システムの開発に着手するとともに、新郵便処理システムにおける施設配備・要員計画についてシミュレーションによる研究を実施した。
[4] 郵便局の窓口事務処理の抜本的な効率化と窓口サービスの迅速化等お客様サービスの一層の向上を図るために、郵便窓口のインテリジェント化を進めていくことが必要である。そのため、6年度から「インテリジェント窓口に関する研究会」を開催し、窓口事務の統合化・情報システム化を研究し、郵便窓口事務処理システムの開発を行うとともに、時間外サービスにも対応できるようなサービス機器の研究を推進している。7年度は、次期インテリジェント窓口の構築に向けたシステム設計に関する研究を実施した。
[5] 大型郵便物及び国際郵便物の局内処理は、普通郵便物に比べ機械化が進んでいない状況にある。この分野の機械化の推進を図るため、7年9月から局内処理の現状分析及び対象郵便物の形状、郵便番号記載状況等の調査・分析を行い、効率的な機械処理システムの構築の研究を開始した。
[6] 近年、普及が進んでいるファクシミリや電子メール等の電気通信技術を利用することにより、紙にとらわれない様々な新しい媒体によるサービス形態が可能となりつつあり、新たな形態の郵便サービスの展開を図り、利便性の向上に結び付けていくことが求められている。そのため、7年10月から「電気通信技術の郵便への応用に関する研究」を開始し、電気通信技術等現状の分析及び電気通信技術の利用により可能となる郵便サービス等新サービスのイメージ検討を行っている。
[7] 現行の官製葉書は、多くの筆記用具等の使用に万能性を持たせてあるため、版画用としては必ずしも最適な用紙とはいえない状況であったことから、これに対応できる版画用葉書用紙の調査研究及び試作品の開発を実施した。その成果に基づき8年用「お年玉付年賀葉書」の内1億枚が「版画用年賀葉書」として試行的に発売された。

 

 

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