平成8年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

1 国際的潮流への対応

 (1)  情報通信基盤のための国際指針の策定

 1994年3月のITU世界電気通信開発会議において、米国副大統領によりGIIが提唱されて以来、国際的な情報通信基盤の構築に対する認識が世界的な高まりを見せている。我が国においてもこのような国際的潮流に迅速に対応するため、郵政省は1994年10月、電気通信審議会に対し、「21世紀を展望した高度情報通信基盤の整備に向けた国際的連携の在り方について」と題する諮問を行った。そして、1995年6月、「グローバルな知的社会の構築に向けて-情報通信基盤のための国際指針」として答申がまとめられた。その概要はア〜イのとおりである。
 ア 世界的な情報通信基盤の意義
 社会活動における情報化の著しい進展が世界的現象として認められる中で、情報通信基盤の整備が様々な社会の課題を解決する一方、各国・地域における情報通信基盤整備状況に格差が生じた場合、その発展レベルの格差につながるおそれがあることを指摘し、世界全体としての調和を達成するため、国際的に均衡の取れた情報通信基盤の整備を進めることにより、世界全体としての高度情報通信社会の実現が不可欠である。
 イ 我が国の今後の課題及び対応策
 この意義を踏まえ、世界的な情報通信基盤の整備の実現に向け、我が国は、(ア) 〜(エ) のような課題や具体的方策について取り組むべきである。
 (ア)  世界的な情報通信基盤の整備・高度化
 情報の物的伝送装置と情報の流通システムの整備・高度化に向け、電気通信市場における国際化への対応及び各国の競争政策の調和、技術革新への制度的対応、グローバルなユニバーサルサービスの確保、相互接続性・相互運用性の確保と標準化の推進が必要である。
 (イ)  世界的な情報通信の利用の促進
 情報通信の利用の促進に向け、アプリケーションの開発普及と多彩なコンテント展開が重要である。著作権・プライバシーの保護、セキュリティの確保、情報リテラシーのかん養と人材育成等、環境整備にも注力すべきである。
 (ウ)  国際協力・協調の推進
 (ア) や(イ) の議論をもとに、ITUやAPT等の国際機関における活動の取組のほか、ODA等の活用により国際協力を進める必要がある。
 (エ)  政策的対応
 情報通信基盤整備における世界的な取組として、「情報社会に関する関係閣僚会合」への対応体制の充実・強化はもちろんのこと、開発途上国に対する積極的な貢献が望まれる。また、我が国における情報通信基盤整備の推進に当たっては、ネットワークインフラの整備、公共的アプリケーションの開発・導入、未来創造型研究開発の強化が必要である。
  さらに、アジア・太平洋地域における情報通信基盤の整備・充実を図る取組に当たっては、域内の研究機関のネットワーク化による交流の促進等が必要である。

 

 

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