平成8年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(4)  身体障害者・高齢者用情報通信システムに関する研究開発

 ア 遠隔健康相談システム及び高齢者用通信・緊急通報・位置探査システムの研究開発
 高齢社会に対応した情報通信基盤の構築を円滑に遂行し、身体障害者や高齢者が便利に安心して暮らせる生活環境を実現するため、身体障害者や高齢者のための情報通信システムを早急に開発し普及させることが重要である。
 通信・放送機構では、6年度から、[1]外出が困難な寝たきり老人等が自宅に居ながらにして離れた病院等にいる医師の診察や健康診断を受けることを可能にする「遠隔健康相談システム」、[2]高齢者や聴覚・視覚に障害を持つ人たちの自由で高度なコミュニケーションを可能とし、疾患のある高齢者等の緊急事態を通報する機能等も用途に応じて導入できる「高齢者用通信・緊急通報・位置探査システム」の研究開発を行っている。
 イ 「情報通信基盤の基礎的・汎用的技術開発」のユニバーサル通信端末技術に関する研究開発
 郵政省通信総合研究所において、7年度から、高齢者・障害者等誰でも使いやすい情報通信端末の実現に必要な技術として、視覚・聴覚障害や運動機能に障害を持つ人のための情報通信端末入出力技術の研究開発を重点課題とした「福祉・汎用情報通信端末技術」、また人にやさしい情報通信端末の開発に必要とされる健常者の認識機能を解明し、障害者等の認識を補完する機能を研究し、福祉・汎用情報通信端末を実現するための「認識機能技術」の研究開発を行っている。
 ウ 過疎地向けの生活支援情報通信システムの開発
 過疎地においては、都市部に比べ高齢化率が高い一方で、医師数は都市部に比べ少ないなどの状況にある。そのため、保健・医療・福祉サービスの提供を支援する情報通信システムが有効であるが、過疎地域の地方公共団体等は財政力が弱いなどの事情から、経済的な情報通信システムが望まれている。
 そこで、郵政省では、7年度第二次補正予算により、通信・放送機構に対し出資を行い、同機構では、無線と有線を組み合わせた過疎地域向けの経済的な保健・医療・福祉情報通信システムの研究開発を行うリサーチセンターを高知県大月町に設置し、同システムの研究開発を8年度から11年度まで実施することとしている。
 エ 障害者・高齢者対応通信入力自動設定技術等の研究開発
 情報化が急速に進展する中、情報通信サービスの利用は不可欠となっているが、障害者・高齢者にとっては、その身体機能の障害等から情報通信サービスの利用が困難となることがあり、肢体不自由者でも情報を入力でき、視覚障害者でも情報を読み取ることができるなどの使いやすい情報通信システムの開発が求められている。
 郵政省では、7年度第二次補正予算により、通信・放送機構に対し出資を行い、同機構では、視覚障害者や高齢者の障害の程度に応じて画面上の情報を最適な大きさに拡大する技術、肢体不自由者の障害の種類や程度に応じて情報の最適入力方法を自動的に設定する技術の研究開発を行っている。

 

 

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