平成8年版 通信白書

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第3章 情報通信が牽引する社会の変革―「世界情報通信革命」の幕開け―

(2)  情報通信の支援による企業の積極的な海外展開

 我が国経済の急速なグローバリゼーションの進展とともに、企業の海外展開が拡大してきている(第3-2-13図参照)。
 このような企業活動の海外展開を支援するためには、情報通信は必要不可欠となってきている。以下では、製造業及び卸小売業を取り上げ、情報通信が果たしている役割について分析する。 

ア 製造業における海外展開

 製造業の海外展開における情報通信の役割について、研究開発段階と生産段階に分けて見てみる。
 まず、研究開発段階では、世界各国の研究機関や企業との間で、インターネット等の情報通信を利用した情報交換等が行われている。
 生産段階では、企業の海外拠点における調達・配送・在庫管理等のために情報通信の活用がみられる。さらに、外国に展開する工場を国内から管理する企業も現れている。
 (バーチャル・ファクトリーの海外展開事例)
 東京都のある産業機器用部品メーカーは、新潟県にある工場とマレイシア、中国、イスラエル等海外にある工場を専用回線で結び、新潟県の工場ですべての工場の稼働状況を監視するとともに、各工場の生産、在庫、物流データ、受注状況等を一元的に管理し、生産計画を立てている。バーチャルファクトリーとして、あたかも一つの工場であるかのごとく機能させている。

イ 卸小売業における国際調達

 卸小売業においては、インターネット等のオープンなネットワークを積極的に活用し、海外からの部品調達を展開している例がみられる。
 (国際調達を行う卸小売業の事例)
 東京都のある機械部品商は、7年7月からインターネットを利用した部品調達を開始した。同社は、ホームページに必要な部品名と数、納期から購入価格までを英語で明示し、広く海外からも調達先(メーカー)を募っている。納入を希望する企業は世界中どこからでも電子メール1本で商談に参加できる。
写真(参考)


第3-2-13図 我が国の海外生産比率及び対外直接投資の推移

 

第3章第2節1(1) 新しいビジネス・スタイルの出現による効率化 に戻る (3) 情報通信の高度化による産業の新たな展開 に進む