平成8年版 通信白書

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第3章 情報通信が牽引する社会の変革―「世界情報通信革命」の幕開け―

2 情報通信の高度化による新しい国土概念の展開

 (1)  地方公共団体による地域情報化

ア 地域情報化計画の策定状況

 地方公共団体においては、地域全体の情報化に対する取組の必要性の認識が高まっており、特に近年、積極的な対応が取られているところである。
 自治省の「地方公共団体の地域情報化施策の概要 平成7年版」(8年3月)により、地域情報化計画の策定状況について見てみる。既に何らかの計画を策定済み及び策定中であるのは、都道府県及び政令指定都市(以下、特に記載がない限り「都道府県等」という。)では59のすべての団体、市区町村では 3,245団体のうち 565団体(同17.4%)となっており、計画策定の状況から見ると、都道府県等では地域の情報化への取組は早い(第3-3-17表参照) 。
 また、地域情報化計画の策定数については、一つの地方公共団体につき、複数の計画が策定されている例が少なくない。都道府県等の策定済計画数は 143であり、計画策定済の1団体あたり平均策定数は2.42、市区町村の策定済計画数は 732で同1.30となっており、都道府県等においては地域の情報化に対し多様な取組が実施されていることが分かる(第3-3-18表参照)。 

イ 具体的な取組の現況

 地方公共団体による地域における情報化の取組については、情報化計画に策定されているもの以外にも、地域において刻々と変化する状況や条件等に応じ柔軟な対応がなされている例が見られる。ここでは、これらの地域におけるすべての情報化に関する取組を地域情報化施策という。
 郵政省の委託調査による「地方公共団体の地域情報化施策等に関するアンケート」(7年12月)(注63)により、地方公共団体における地域情報化施策の取組の現況を見てみると、次のとおりである。
 (ア)  地域情報化施策の目的
 都道府県等では地域住民の生活利便性の向上、都市部との情報格差の是正、地域産業の支援が上位となっているのに対し、市区町村では災害対策が最も高く、市区町村全体の17.3%を占めている。続いて行政広報、地域住民の生活利便性の向上が挙げられている。また、都道府県等において多くなっている都市部との情報格差の是正、地域産業の支援は市区町村では下位となっている。
 このように、市区町村では都道府県等に比べ、より住民の生活に密着した目的が重視されていることが分かる(第3-3-19表参照)。
 (イ)  地域情報化施策の概要
 (導入分野の傾向)
 都道府県等では産業分野が最も多く、次いで教育・文化分野、行政分野となっている。これに対し、市区町村では防災分野が最も多く、2位の行政分野と合わせて回答全体の過半数を占めている。このように、都道府県等では導入分野が多岐にわたっているのに対し、市区町村では防災分野と行政分野に集中する傾向にある(第3-3-20図参照)。
 (利用メディア)
 利用が多いメディアについては、都道府県等ではパソコン通信、データベース、専用回線、インターネット等となっているのに対し、市区町村では、防災無線が圧倒的に多くなっており、以下パソコン通信、ケーブルテレビ等が続いている。パソコン通信については、都道府県等、市区町村の別に関係なく利用が多いことが特徴として挙げられる(第3-3-21図参照)。
 (ウ)  地域における情報化推進に向けての課題
 地域における情報化を推進していく上での課題として、都道府県等では、「インフラの整備が不十分」、「通信費が高い」が上位となっている。それに対し、市区町村では、「行政側の専門知識が不足」が最も多く挙げられており、次いで「システムの開発コストが高い」、「行政の他の施策に比べて優先順位が低い」が続いている。このように、都道府県等では実行上の障害が問題として挙げられているのに対し、市区町村では、情報化施策の検討に着手すること自体が困難であることが分かる(第3-3-22図参照)。


第3-3-17表 地域情報化計画の策定状況

第3-3-18表 地域情報化計画の形式別策定状況

第3-3-19図 情報化施策の目的

第3-3-20図 情報化施策導入分野

第3-3-21図 情報化施策実施に当たっての利用メディア

第3-3-22図 情報化推進に向けての課題

 

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