平成8年版 通信白書

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第3章 情報通信が牽引する社会の変革―「世界情報通信革命」の幕開け―

(3)  情報通信産業の経済波及効果

ア 情報通信産業の設備投資等の生産誘発効果等

 (ア)  生産誘発効果
 情報通信産業の中核部門である電気通信業及び放送業の設備投資について見てみると、「通信産業設備投資等実態調査」によれば、電気通信事業者及び放送事業者の6年度の、土地の取得等を除いた投資実績額は、電気通信事業者全体が約2兆 5,775億円、放送事業者全体が約 1,340億円の合計約2兆 7,115億円であった。この時の生産誘発額を推計すると、約5兆 2,592億円であり、生産誘発額を投資額で除した生産誘発係数は1.94であった。また、生産誘発額の部門別構成を見ると、情報通信機器製造(49.3%)や研究( 5.7%)等の情報通信産業のほか、電気機械( 7.7%)、卸売業( 3.7%)、対事業所サービス( 3.7%)等の広範囲の産業に生産誘発が及んでいる(第3-2-49表参照)。
 情報通信関連公共投資として、電気通信格差是正事業について見ると、7年度に実施された事業への土地の取得等を除いた公共投資額は合計で約54億円であった。この時の生産誘発額は 104億円であり、生産誘発係数は 1.94 であった。生産誘発の波及先の部門別構成を見ると、情報通信機器製造(50.7%)のほか、電気機械( 6.2%)、研究( 5.7%)、対事業所サービス( 3.7%)、卸売業( 3.7%)等の広範囲の産業に生産誘発が及んでいる。
 (イ)  雇用創出効果
 「通信産業設備投資等実態調査」によると、電気通信事業者及び放送事業者の6年度の、土地の取得等を除いた設備投資による誘発就業者数を推計すると、約22万1千人であった。この雇用創出の部門別構成を見ると、情報通信機器製造が 8.3万人(37.5%)、研究が 2.0万人( 8.9%)、電気機械が 1.8万人( 8.3%)、卸売業が 1.8万人( 8.1%)、対事業所サービスが 1.6万人( 7.3%)等と、広範囲の産業にわたって雇用創出が生じている(第3-2-50表参照)。

イ 情報通信産業の労働生産性の上昇による各産業の価格及び消費に及ぼす影響

 情報通信産業の労働生産性の上昇が、我が国の各産業の財・サービスの価格(国内総供給価格)(注59)にどのような影響を与えたかを分析すると、我が国産業全体で、昭和60年から6年までの10年間で 2.3%低下させる効果があった。産業別に見ると、国内電気通信、国際電気通信を中心とした情報通信産業自体の大部分の部門の価格低下を大きくもたらしたのみならず、電気機械や化学製品等の製造業に加え、卸売業、小売業、対事業者サービス等幅広く産業全般にわたって価格低下の効果が及んでいる。
 このような価格低下により消費者の実質購買力が高まり、その結果増大する実質消費への影響を計測すると、昭和60年から6年までの10年間で合計で約7兆 3,470億円の消費押し上げ効果があったと推計できる。


第3-2-49表 生産誘発効果の波及先の部門分布

第3-2-50表 雇用創出効果の波及先の部門分布

 

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