平成8年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(3)  地球環境保全関係技術開発の推進

 ア 地球環境計測技術の開発
 地球温暖化、オゾン層の破壊、酸性雨等の問題は、地球規模の現象であり、これらの現象の消長を予測し有効な対策を講ずるためには、その前提として、まず地球環境の悪化の実態を正確に把握し、地球環境問題のメカニズムを解明することが必要である。
 郵政省では、電波や光を用いた地球環境観測技術の研究開発を推進しており、主なものは次のとおりである。
[1] 熱帯域を中心とする降雨をグローバルに観測する熱帯降雨観測衛星(TRMM)
  世界で初めて降雨観測レーダーを搭載する衛星であるTRMMは、9年度の打上げに向けて日米共同で開発が進められており、現在、郵政省通信総合研究所と宇宙開発事業団が協力してTRMM搭載用降雨レーダーの開発を行っている。
[2] オゾン等の大気中の微量ガス成分を計測する短波長ミリ波帯電磁波技術
[3] 光により対流圏の水蒸気等をグローバルに観測する光アクティブセンサー技術
[4] 地表面の三次元情報を高精度に観測する航空機用マイクロ波映像レーダー技術
 イ 地球環境保全に資する国際共同研究プロジェクト
 地球環境問題は、その影響が国境を越えて地球全体に広がることから、その解決には、国際レベルでの環境観測手段の整備等、国際的な取組が必要であり、郵政省では、次のような国際共同研究プロジェクトに取り組んでいる。
 (ア)  地球環境のための高度電磁波利用技術に関する国際共同研究
 4年度から、日米科学技術協定に基づき、米国アラスカ大学等との共同実験を通じて、地球温暖化、オゾン層破壊等と密接に関連する中層大気(地上約10〜 100km)の総合的な観測・計測技術の開発を行っている。
 (イ)  アジアにおける地球環境計測技術の共同研究
 5年度から、アジア地域の開発途上国の環境問題への対応及び低緯度地域の地球環境観測データの取得のため、開発途上国に適した地球環境計測技術の共同研究、その成果報告会の開催等を実施している。
 ウ 地球環境研究のための情報通信ネットワークの開発調査
 地球環境研究を支援するため、郵政省通信総合研究所では、3年度から、各種の地球環境に関するデータ・情報を円滑に流通するための地球環境情報通信ネットワークの開発に関して検討を実施している。

 

 

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