平成8年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(2)  地域社会・国際社会への貢献施策の拡充実施

 ア 「活き活き情報交流サービス」の拡大
 郵政省では、地方公共団体が発信する観光・イベント情報、産業情報等の各種情報を収録した印刷物、ビデオテープ等のリストを、郵便局に備えた冊子(情報カタログ)により、あるいはパソコン通信により提供し、この中から利用者が希望する情報を郵便で申し込むと、後日、当該地方公共団体から情報が郵送されてくる「活き活き情報交流サービス」を5年1月から実施している。
 7年4月に情報提供地方公共団体を80に拡大したが、8年4月から 100に拡大するほか、情報カタログを全国の郵便局(簡易郵便局を除く。)に配備する予定である。
 イ 個人輸入支援サービス(IMOSS)のサービス改善
 IMOSSは、同サービスに加盟している海外通信販売会社のメールオーダーカタログを郵便局に展示して、このカタログにより情報を利用者に提供し、海外の商品を個人輸入できるようにするもので、昭和63年11月から実施されている。郵政省では、郵便局の地域における情報発信機能の充実の一環として、7年8月から取扱局が50局であったものを全国の普通郵便局に拡大した。
 ウ 郵便局における住民票等の交付請求の取扱い
 郵政省では、地域住民の利便向上のため、郵便局に備え付けの申込用紙を郵送することにより住民票等の交付請求が行えるサービスを昭和62年4月から開始しており、8年3月末現在で、約1,200 市区町村、約 1万1,600 千郵便局で実施されている。また、ファクシミリによる住民票の交付請求が行えるサービスを4年2月から開始しており、8年3月末現在で、13市区町村、24郵便局で実施されている。
 エ 郵便局ネットワークの活用による地域の情報化
 郵便局の窓口環境整備及び地域の情報拠点としての郵便局の機能向上を目的に、郵政省では、昭和63年度からハイビジョン・シティモデル都市、都道府県庁所在地、テレトピア指定地域、地方拠点都市等に所在する郵便局へのハイビジョン放送受信システムの導入を進めている。7年度末現在、全国 238局の郵便局に同システムを配備している。
 さらに、6年度からは郵便局においてCS・BS放送受信機器の設置又は都市型ケーブルテレビへの加入を進めている。7年度末現在、全国 557の郵便局にCS・BS放送受信機器の設置を行うとともに、 449の郵便局において都市型ケーブルテレビへの加入を行った。
 オ ふるさと小包の振興
 郵政省では、6年度から各郵便局において、生産者、郵便局、地方公共団体、利用者等で構成する「ふるさと小包推進協議会」を開催しており、8年度も7年度に引き続き同協議会を開催し、郵便局等から必要な助言を行うとともに、郵便局ネットワークの活用、利用者の需要動向、品質管理についての情報・意見交換を行うこととしている。同協議会等で集約した情報は生産者にフィードバックされ、ふるさと小包の需要拡大を通じて地域社会の振興に貢献することとしている。
 カ 寄附金付お年玉年付賀葉書等の寄附金による地域社会への貢献
 お年玉付年賀葉書・年賀切手に付加された寄附金は、それぞれ昭和24年、3年の制度発足以来、社会福祉の増進、がん等難病の治療研究、青少年の健全育成、地球環境の保全等10の分野の事業への配分を通じて地域社会に貢献している。
 8年用寄附金付お年玉付年賀葉書・年賀切手及び7年度に発行した寄附金付広告付葉書(4年度に制度発足)の販売を通じて集められた寄附金は、 360団体に対して約17億 1,600万円が配分された。
 また、7年1月に発生した阪神・淡路大震災の被災者の救助を寄附目的とする寄附金付郵便切手を7年4月に発行し、寄附金の配分申請のあった兵庫県及び神戸市に対し、7年度中に総額約9億 4,300万円の配分を行った。
 キ 国際ボランティア貯金による国際貢献
 郵政省では、国民参加による民間レベルでの海外援助の充実に資することを目的として、3年1月から国際ボランティア貯金の取扱いを開始している。7年度には、約28億円の寄付金を全国 235団体が実施する 305の援助事業に対し配分を行い、アジア・アフリカを中心とした世界61か国において、貧困や災害で苦しむ人々のための食糧、医療・衛生指導や教育関係、自立を促すための職業訓練、農業等の技術指導、さらには環境保全等の援助に役立てられている。8年2月には国際ボランティア貯金の加入件数が 1,940万件に達するなど、国民の間に着実に定着してきている。
 ク 郵便局の外貨両替等サービスの推進
 3年10月に開始された外国通貨の両替及び旅行小切手の売買サービスは、順次取扱局を拡大し、現在、全国 300局で取り扱われている。8年度には、取扱局を全国 360局に増加する予定である。取扱通貨は、外貨両替が米ドル、フランスフラン、カナダドル、英ポンド、ドイツマルク、オーストラリアドル及びスイスフランの7通貨で、旅行小切手はこれら7通貨に日本円を加えた8通貨建てとなっている。7年度の取扱状況は、総取扱件数約20万件、総取扱金額約 172億円であり、国際化の進展等を受けて外貨両替等サービスに対する地域住民のニーズが高いことを示している。
 ケ 郵便貯金オンラインシステムの充実
 郵便貯金のオンラインシステムは、昭和53年に神奈川県内の郵便局でスタートし、昭和59年に全国ネットワークが完成した。昭和63年からは最新の情報通信技術を取り入れた「第II期システム」による運用を開始した。このシステムは、簡易郵便局を含め全国約2万 4,600局をネットワーク化する単一機関としては他に類を見ない大規模なものである。
 この間、3年4月から郵貯ホリデーサービスを開始し、ほぼ全郵便局にATM及びCDを設置し、7年12月から約 180局で平日のATM及びCD取扱時間を延長した。さらに、昨今の目覚ましい情報通信技術の進歩及び金融の自由化の進展に即応した事業経営上の要請に一層対応したシステム基盤を構築することとし、8年1月から新システムによる運用を一部開始した。
 コ 郵便貯金資金・簡保資金の運用を通じた貢献
 財政投融資の主要な原資として活用される郵便貯金資金や財政投融資への協力を通じて活用される簡保資金は、全国約2万 4,600の郵便局ネットワークを通じて集められ、社会資本の整備、国民生活の質の向上、地域の振興に重要な役割を果たしている。
 このうち簡保資金は、加入者の身近なところで役立てられるよう、地方還元を図っている。特に地方公共団体へは、地域の郵便局を通じて貸付けが行われており、小・中学校の建設や公園・下水道の整備、さらには防災無線の施設整備等に役立てられ、豊かなまちづくりに貢献している。7年度末現在の地方公共団体に対する貸付残高は、約13兆4千億円で、8年度には1兆 7,500億円の貸付けを計画している。
 また、郵便貯金資金及び簡保資金は、外国政府や国際機関等の発行する債券の購入及び財政投融資計画を通じた運用により、国際経済の安定・発展に貢献している。
 サ かんぽ健康増進支援事業による地域社会への貢献
 郵政省では、(財)簡易保険加入者協会が実施する簡易保険加入者の健康の保持増進プロジェクトを支援し、長寿福祉社会の構築に寄与するため、5年10月からかんぽ健康増進支援事業を実施している。7年度は、18億円を助成し、また、より多くの加入者が参加できるように、数多くのプロジェクトを実施し、全国約12,000件のプロジェクトに約 182万人が参加した。また、8年度からは、新たに介護ボランティアプロジェクトを実施することとしている。
 加入者は、(財)簡易保険加入者協会が実施する健康増進プロジェクトのイベントへの参加や実施を希望するイベントについての要望を郵便局等を通して申請することができる。
 シ 介護関連サービスの情報提供
 高齢化の一層の進展に伴い、高齢者向けの介護関連サービスに対する国民のニーズが、今後増大することが見込まれる。このため、郵政省では、7年4月から関東郵政局及び東京郵政局管内の普通郵便局の窓口端末を通じ、医療施設、公的福祉施設、各種相談窓口の情報を簡易保険利用者に提供するサービスを実施しており、8年4月からはこのサービスの提供を全国の普通郵便局に拡大することとしている。

 

 

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