平成8年版 通信白書

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第3章 情報通信が牽引する社会の変革―「世界情報通信革命」の幕開け―

(2)  日米欧キャリア間での競争・提携等

ア 日米欧キャリア間での国際コンソーシアムの形成

 ボーダレス経済の中の激しい国際競争に対応する国際競争力強化のため、各国キャリアはグローバルな戦略的展開を図ろうとしている。そのため、国際間の提携等が活発化してきている。各国キャリア間での主な国際コンソーシアムは、第3-1-41図のとおりである。
 これらの世界的規模で展開されている各国キャリアによる主要な国際コンソーシアムにおける出資状況をみると、ワールドパートナーズでは、AT&Tが40%を出資し、コンサートには、MCIが25%の出資を行うなど米国企業が活発な出資を行っている。また、英国では、BTがコンサートに75%の出資を行っている。これに対して、我が国が行っている出資は、ワールドパートナーズにKDDが24%の出資を行っているにとどまる。
 また、1996年2月、スプリントが50%を出資し、フランス・テレコム及びドイツ・テレコムが各25%を出資しグローバルワンが設立された。
 国際間の提携等の動きと各国の政策との関係について見る。BTとMCIのコンソーシアムであるコンサートの計画が1993年に発表された。これに対し、米国司法省は、1996年6月、英国の電気通信市場はフランスやドイツに比べて開放度が高いとして、BTとMCIの提携内容について変更を要求せずに承認を行っている。
 また、ドイツとフランスのコンソーシアムであるアトラスは、1993年に計画が発表されたが、1995年7月にEUは、ドイツ及びフランスの電気通信市場が自由化されておらず、両国が自国内の電気通信市場を開放する明確な意思表示をしない限りは設立に反対するとの立場を明らかにしていた。しかし、その後両国が代替インフラの自由化を実施すること等を条件に、EUはアトラスを承認する意向を1995年10月に表明した。

イ その他の日米欧間での競争・提携等

 このような国際間の大規模な提携等の動きとともに各国間において注目すべき競争・提携等の動きがみられる。
 米国の複数のRHCは、英国のケーブルテレビ事業に進出している。ナイネックスは、ナイネックスケーブルコム(1995年1月現在、加入世帯数では英国第3位)に出資し、ケーブルテレビ及び電話サービスの提供を行っている。また、USウエストは、1991年に米国ケーブルテレビ運営会社であるTCIと提携し、テレウエスト(1995年1月現在、加入世帯数では英国第1位)を設立した。
 また、ナイネックスは、12億ドルを投じて地中海・インド洋経由で英国から日本までを光海底ケーブルで結ぶFLAG計画を推進している。
 米国マイクロソフト社は、インターネットの利用拡大を図るため、インターネットにアクセスできるシステムの共同開発に向けてMCI、NTT、香港テレコム等世界4か国・地域の主要電話会社7社と提携した。
 民間国際衛星通信の分野で世界最大の米国パンナムサット社は、1995年11月に我が国の第一種通信事業者の許可を受け、映像伝送サービスの提供を開始した。これまで事実上、KDDが独占していた日本から海外に向けての映像伝送においても競争が開始されることとなった。
 非静止軌道を利用した移動体衛星通信サービスの構想が、米国及び欧州を中心に計画されている。低軌道周回衛星(LEO)を利用する米国のイリジウム計画は、1990年に計画が公表され、1998年から商用サービスの開始が予定されている。本計画には、欧州、アジア地域からも参画ががみられ、我が国も1993年7月に本計画に参画している。


第3-1-41図 各国キャリア間での主な国際コンソーシアム

 

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