平成8年版 通信白書

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第2章 情報通信政策の動向

(2)  デジタル放送における技術開発


 ア ISDB技術に関する研究開発
 超高精細度テレビジョン放送、高臨場感放送、デジタル多チャンネル放送、対話性を有する高度マルチメディア放送等、放送システムの高度化を図るISDBを実現するためには、多量の映像情報を含む極めて多種多様な放送のコンテントを高能率、柔軟に伝送することが必要であることから、ISDB技術に関する研究開発の推進を行っている。
 イ 地上デジタル放送実現に向けた技術開発
 地上系デジタル放送の実現には、情報を多数の電波に分散して伝送し、ゴースト等の妨害波に強い伝送方式であるOFDM(直交周波数分割多重変調方式)等、高度な伝送技術の開発が不可欠であり、現在、通信総合研究所、NHK放送技術研究所、(株)次世代デジタルテレビジョン放送システム研究所等において技術開発が進められているところである。
 ウ デジタル放送技術総合試験施設の整備
 地上デジタル放送等、新たな放送技術の早期の研究開発を行うための総合的な試験設備が未整備として、通信総合研究所内に地上デジタル放送のシミュレーション・システム等、放送システムの総合的な評価・検証を行うことが可能な試験設備の整備が行われた。
 エ デジタル放送受信機インターフェイスの標準化の推進
 郵政省は、デジタル放送受信機のインターフェイスの標準化を推進し、放送と通信等の他のメディアとの融合を可能とするため、7年度において、デジタル放送受信機とパソコン、通信端末、ICカード等との接続に必要なインターフェイスの適合試験システムを整備し、標準適合試験を実施している。
 オ 統合デジタルCATVシステム標準化試験施設の整備
 ケーブルテレビは、広帯域・双方向のメディアとして、マルチメディア時代の情報通信基盤としてフルサービスの提供が期待されており、ケーブルテレビシステムのデジタル化と、デジタル化された他のメディアとの接続は不可欠である。特に、8年4月から開始が予定されている衛星デジタル多チャンネル放送との接続は緊急な課題であり、そのため、通信総合研究所の広帯域CATV実験施設(ACTセンター)内に統合デジタルCATVシステム標準化試験施設が追加整備された。ここで、多チャンネル化、高画質化を図るためのケーブルテレビの高速デジタル伝送技術、VOD等デジタル制御技術、他メディアとの接続技術等の統合デジタル伝送技術に係る実証実験が行われている。
 カ 「マルチメディア時代に向けた放送技術の将来展望」の諮問
 放送技術は、放送メディアの多様化・高度化の中で、放送メディアの特性を生かしつつ、デジタル技術、通信技術、ネットワーク技術等の他分野の技術との融合や受信機の高度化技術の進展により、マルチメディア時代に向け重要な役割を担っていくものと期待されている。
 このような状況から、諸外国との連携等の国際的な視野も踏まえ、7年11月、郵政省は「マルチメディア時代に向けた放送技術の将来展望」について、電気通信技術審議会へ諮問を行った。同審議会に新たに設置された「放送技術開発委員会」にて審議が行われ、8年6月に「我が国の放送技術の将来展望並びにこれらに関する諸課題」について答申が出される予定である。
 キ マルチメディア時代に対応したデジタル放送の技術開発に関する検討
 我が国においては、今後、メディア融合型の放送サービス、超高画質のテレビジョン放送や高度な移動体放送サービス等の実現を図っていくため、デジタル放送技術に関する技術開発、標準化及び実用化を国際的な連携を保ちつつ、円滑に進めていくことが必要である。そのため郵政省では、「マルチメディア時代に対応したデジタル放送の技術開発に関する調査研究会」を7年10月から開催している。
 本研究会では、[1]デジタル技術がもたらす新しい放送システムの可能性、[2]他メディアとのインターフェイスを配慮した今後の技術開発と標準化課題、[3]マルチメディア時代に対応したデジタル放送のモデルシステム、[4]国際的連携の在り方が検討されており、8年4月に報告が取りまとめられる予定である。

 

 

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