平成8年版 通信白書

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コラム

コラム6 第1回世界電気通信政策フォーラムの開催

 ITUはこれまで、各国がお互いの通信主権を尊重しつつ、事業者間の回線の接続を技術的に可能とし、無線局間で混信が生じないよう国際的なコンセンサスを技術面で固めるという重要な役割を果たしてきた。しかしながら、近年、低軌道衛星を利用した衛星通信システムのように、1国の一つのシステムが単独で全世界におけるサービスの提供を可能とするまったく新しい技術が実用化されようとしており、ITUの活動の前提も大きく変化しようとしている。
 電気通信サービスを支える技術が国を単位とする時代から世界を単位とする時代に入ろうとしている中で、これに対応した規制の枠組みがないことから、このようなサービスの普及に困難が生ずることが予想される。このため、ITUに対しては、新たな電気通信の発展に対応しつつ、各国の戦略・政策面の調整において大きな役割を果たすことが期待されている。
 世界電気通信政策フォーラムは、このようなITUが果たすべき新たな役割を見据えた我が国が、1994年9月、ITU京都全権委員会議に対し提案し開催が認められたものである。本フォーラムは、世界的な電気通信の政策及び規制問題を議論し、参加国が共通の認識を得ることにより、グローバルな政策調整に大きく貢献する場として期待されており、主管庁のみならずITUの活動への参加を認められた事業体、学術団体及び工業団体にも参加が認められている。
 1995年6月のITU年次理事会において、第1回フォーラムは「衛星によるグローバルな移動パーソナル通信」を議題として、1996年10月21日〜23日に開催されることが決定された。この議題は、世界の電気通信格差の解消のための強力な決め手となるものであり、GIIの進展の中で情報を持つ者と持たざる者が生じることを防ぐことも期待できるとして、我が国が提案したものであり、この提案に対しては圧倒的な支持が寄せられた。
 第1回フォーラムのための準備として、1996年1月、ITU事務総局長の諮問機関であるWTACが米国のハワイで開催された。本会合には、我が国のほか米国、中国を含む7か国の主管庁に加え、衛星携帯電話に係わる事業者11社の代表が参加し、衛星携帯電話サービス導入のための指針を取りまとめた。また、1996年6月には、APTにおいて世界電気通信政策フォーラムのための準備会合が開催される予定であり、第1回フォーラムの開催に向け、世界的に準備が進められている。

 

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