平成8年版 通信白書

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第3章 情報通信が牽引する社会の変革―「世界情報通信革命」の幕開け―

(2)  他産業の情報通信産業への積極的参入

 ここでは、電気通信業と放送業について、7年3月現在の株主構成を調査し、情報通信以外の産業等から情報通信産業への参入状況を概観する。 

ア 電気通信業への参入

 電気通信事業者のうち第一種電気通信事業者について筆頭株主の業種を見ると、最も多く登場するのは電気通信事業者であり、NTT、新事業者等の電気通信事業者は、他の電気通信事業者の筆頭株主となっており、ほぼ半数を占めている。以下、電力会社、メーカー(電機、自動車)、商社の順となっている。特に、携帯・自動車電話等の移動通信会社は、NTT、新事業者が筆頭株主となっている例が、地域通信会社及びPHS系の移動通信会社は、電力会社が筆頭株主となっている例が、国際通信会社及び衛星通信会社は、商社が筆頭株主となっている例が多い。
 また、各社の上位5位以内の株主の業種を見ると、最も多く登場するのは商社である。商社は通信の自由化以降、情報通信産業に対する積極的な投資を続けており、電力会社が数多く筆頭株主となっている地域電話会社等に対して数多く出資している(第3-2-22図参照)。 

イ 放送業への参入

 放送事業者について、株主構成が公表されている 191社を対象に筆頭株主の業種を見ると、最も多く登場するのは新聞社で、以下、地方経済界の有力者等の個人、地方公共団体の順となっている。
 さらに、放送事業者をテレビジョン・ラジオ併営局、テレビジョン単営局、ラジオ単営局、衛星放送局に分類して、それぞれの特徴を分析する。
 テレビジョン・ラジオ併営局では、35局のうち15局の筆頭株主が新聞社であり、それも一部を除いて地方新聞社である。それ以外では、個人と地方公共団体が多い。上位5位以内の株主では、新聞社が多いことには変わりないが、金融・保険業も多くを占め、特に地元金融機関がメインバンクとして、あるいは有力融資先として株主に名を連ねている。
 テレビジョン単営局では、80局を超えるため設立年代別に分類して分析する。どの年代を通じても多いのは新聞社である。一方、1960年代、1980年代に設立された放送局には個人が多く出資している。また、1970年代ごろまでは地方公共団体も筆頭株主にいくつか顔を見せており、1990年代にも筆頭株主としてわずかながら登場する。
 ラジオ単営局では、個人株主が極めて多い。また、1950年代に数多く設立された中波ラジオ局、1980年代以降急速に増加したFMラジオ局に分けて見ると、中波ラジオ局は設立が古いこともあり、テレビジョン・ラジオ併営局とほぼ同じ傾向にあり、新聞社、地方公共団体が多くなっている。FMラジオ局はその構成が音楽番組中心という特性からか、新聞社の割合がかなり低くなり、これに代わって地方公共団体や、最近ではメーカー(電機、自動車)も増えている。
 衛星放送局の株主では、地上波テレビ局ではほとんど見られなかった商社が多くなり、メーカー(電機)や地上波放送局等の放送事業者も多く見られる。最も特徴的なのは映画会社が含まれていることである。放送局や映画会社等、映像ソフトを持っている企業がそのソフト資産を生かせる場として衛星放送に期待をかけているものと推測される(第3-2-23図参照)。


第3-2-22図 電気通信業への参入

第3-2-23図 放送業への参入

 

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