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特集② 進化するデジタルテクノロジーとの共生
第1節 AI進展の経緯と生成AIのインパクト

(2) 生成AIによる経済効果

生成AIの登場により、我々の知的活動は大きく影響を受け、従来AIが適用しづらかった業務領域も含めて、コンテンツ制作、カスタマーサポート、建設分野等様々な業務領域での業務の変革が可能となる。「生成AIの出現は、恐らく人類史上有数の革命といっても過言ではない。企業がセキュリティ上のリスクを恐れて活用しないことこそが最大のリスクであり、むしろ自社が次の時代の生成AIファースト企業になるつもりでAI活用を進めていくべき」とも言われている8

2023年3月17日、OpenAIとペンシルバニア大学が発表した論文によれば、80%の労働者が、彼らの持つタスクのうち少なくとも10%が大規模言語モデルの影響を受け、そのうち19%の労働者は、50%のタスクで影響を受ける。なかでも高賃金の職業、参入障壁の高い業界(データ処理系、保険、出版、ファンドなど)ではLLMの影響が大きいと予測されている。一方で、生成AIによって大きなビジネス機会を引き出す可能性もある。ボストンコンサルティンググループの分析によると、生成AIの市場規模について、2027年に1,200億ドル規模になると予想されている。最も大きな市場は「金融・銀行・保険」で、次に「ヘルスケア」、「コンシューマー」と続く(図表Ⅰ-3-1-6)。

図表Ⅰ-3-1-6 生成AIの市場規模(試算)
(出典)ボストン コンサルティング グループ 「The CEO’s Roadmap on Generative AI」(2023年3月)


8 東京大学大学院工学系研究科技術経営戦略学専攻の今井翔太氏によると、「生成AIが役に立つかどうかといった議論をしている段階ではなく、使わなければ競合企業にあっという間に何倍の差がつけられるようなことが起こりうる転換点であり、既にソフトウェア産業においては、生成AIにより圧倒的な生産性の向上が実現されている」という。(2024年3月11日インタビュー実施)

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