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第Ⅱ部 情報通信分野の現状と課題
第7節 ICT技術政策の動向

(2) Beyond 5Gの知財・標準化活動の推進

Beyond 5Gの国際標準化活動が本格化し、世界各国の主要企業が注力していく見込みである。我が国の開発成果に係る国際標準化活動で成果を得るためには、研究開発プロジェクトにおける自らの投資、事業戦略、経営コミットメント等を含む戦略と覚悟を持ったプロジェクトに対し、その戦略商材の社会実装・海外展開に向けて重要となる国際標準化活動を支援していくことが重要となる。総務省では、令和5年度補正予算により革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業を拡充し、研究開発に加えて国際標準化活動への支援を行うメニューを新設している。その国際標準化活動支援メニューについては、情報通信審議会 情報通信技術分科会 技術戦略委員会 革新的情報通信技術プロジェクト事業面評価等WGにおいて検討を行い2024年(令和6年)3月にとりまとめた「革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業による国際標準化活動に対する支援の在り方について」に基づき運用していく予定である。

また、Beyond 5Gに向けては、産官学が連携・協力した国際標準化・知財活動の戦略的推進を目的とし、そのためには組織・企業の「経営戦略」が重要との理念のもと、2020年(令和2年)12月に「Beyond 5G新経営戦略センター」を設立し、標準化・知財活動等をリードする人材育成、産業連携の推進、意識啓発、情報発信に係る各種活動を展開している。具体的には、次世代の企業経営等の中核を担う若手人材を対象とした組織・企業の枠を超えた研修活動「リーダーズフォーラム」や企業(特に経営・事業部門)向けの意識啓発・情報発信を目的とした「新ビジネス戦略セミナー」を実施するとともに、2023年度(令和5年度)から情報通信・デジタルと多様な分野・産業との架け橋を担う新たな産業連携活動「XG Ignite」を開始している。

さらに、国際標準化活動を研究開発の初期段階から推進するため、信頼でき、かつ、シナジー効果も期待できる戦略的パートナーである国・地域の研究機関との国際共同研究を実施している。具体的には、2022年度(令和4年度)から、米国、ドイツそれぞれとの間で国際共同研究を実施している。また、「日EUデジタルパートナーシップ(2022年(令和4年)5月)」を踏まえ、日EU間で協議を経た共同研究テーマに基づき、革新的情報通信技術(Beyond 5G(6G))基金事業「要素技術・シーズ創出型プログラム」を活用した共同研究について公募を実施した。

2020年(令和2年)12月に設立した、産学官で連携しBeyond 5Gを強力かつ積極的に推進する「Beyond 5G推進コンソーシアム」では、活動の一環としてBeyond 5Gの将来の技術動向及び展望に係る検討を実施しており、2021年(令和3年)6月のITU-R SG5 WP5D第38回会合以降、検討結果に基づいた寄与文書を継続的に入力しITU-RにおけるIMT-2030のフレームワーク勧告2の策定に貢献したほか、利用方法や性能目標に関する検討結果をまとめた「Beyond 5Gホワイトペーパー」を2022年(令和4年)3月に作成した。さらに、5G以降のIMTでの利用を念頭とした国際的な新規周波数特定の検討を行うITU-R WRC-27議題1.7に関する議論推進に資するべく、検討対象周波数である7,125MHz-8,400MHz及び14.8GHz-15.35GHzにおける既存無線システムの利用状況調査を実施し、これを踏まえてアップデートした「Beyond 5Gホワイトペーパー3.0版」を2024年(令和6年)3月に公表している。このほか我が国のOpen RANの普及・推進や国内企業の海外進出を目的に、Open RANに関する各種課題に関して議論を行う「Open RAN推進分科会」を2022年(令和4年)3月に設置し、議論結果については「Open RAN推進分科会活動報告書」として2023年(令和5年)3月にとりまとめた。さらに、国内外の関係者間の連携強化を目的とする「Beyond 5G国際カンファレンス」を2024年(令和6年)2月に開催している。2024年度(令和6年度)には、同コンソーシアムと第5世代モバイル推進フォーラム(5GMF)を統合することで、次世代移動通信の推進体制を強化し、Beyond 5G技術の社会実装に向けた取組を一層促進させる。



2 勧告ITU-R M.2160-0“Framework and overall objectives of the future development of IMT for 2030 and beyond”のこと。2030年頃の実現が想定される次世代の携帯電話規格に求められる能力やユースケース等を含む全体像を与えることを目的に、2023年(令和5年)11月開催のITU無線通信総会(RA-23)にて新規承認された勧告。

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