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第Ⅱ部 情報通信分野の現状と課題
第11節 デジタル活用の動向

(3) デジタルサービスの活用状況

ア 全般的なデジタルサービス利用状況

普段利用しているデジタルサービスについて、日本、米国、ドイツ、中国でアンケート調査を実施したところ、日本においては、「インターネットショッピング」、「メッセージングサービス」、「SNS」、「情報検索・ニュース」、「QRコード決済」といったサービスの利用者が約60%以上と、他のサービスと比較して多くなっていた。日本で「QRコード決済」の利用が比較的多い背景には、スマートフォンの普及、QRコード決済事業者による導入促進キャンペーン、コード決済を活用した行政によるキャッシュレス普及促進および中小企業支援の取組等があると考えられる(図表Ⅱ-1-11-7)。

図表Ⅱ-1-11-7 全般的なデジタルサービス利用状況
(出典)総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」
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また、プラットフォーム企業が提供するサービスやアプリケーションを利用するにあたり、パーソナルデータを提供することを認識しているか否かを尋ねたところ、「認識している」(「よく認識している」、「やや認識している」の合計)と回答した割合は、米国が最も高く(87.7%)、日本は約4割(41.0%)であった(図表Ⅱ-1-11-8)。

どのようなことに懸念を覚えるかを尋ねてみると、日本を含む各国で「登録した情報が意図せぬうちに、電話、訪問販売、SNS広告などに利用されてしまう」ことが最も懸念されていた。一方、日本では「特に懸念がない」とする割合が21.7%であり、10%前後の米国、ドイツと比べて高かった(図表Ⅱ-1-11-9)。

図表Ⅱ-1-11-8 パーソナルデータ提供に対する認識の有無
(出典)総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」
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図表Ⅱ-1-11-9 パーソナルデータの提供が必要なサービスに対する懸念
(出典)総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」
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プラットフォーマーへパーソナルデータを提供してもよいと思う条件を尋ねたところ、他国と比較して日本は、特に、「提供したデータの流出の心配が無いこと」、「企業によるデータの悪用の心配が無いこと」、「自分のプライバシーが保護されること」を選択した人が多い。各サービスの利用においてパーソナルデータ提供の機会が増加したり、条件を設定するような機会が増加したりすることに伴い、意識する人が増えた可能性がある。

【関連データ】パーソナルデータを提供してもよいと思う条件

出典:総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」

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イ 仮想空間でのデジタルサービス利用状況(XRコンテンツ)

仮想空間上の体験型エンターテインメントサービス3を利用したことがあると回答した割合(「生活や仕事において活用している」、「利用したことがある」の合計)は、米国、ドイツ、中国では約30〜45%となっていたのに対して、日本では9.6%と大幅に低くなっていた。利用意向が低いと考えられる回答の割合(「生活や仕事において、必要ない」、「利用する気になれない」の合計)も、最も割合の高いドイツの50.0%に比べ、日本では65.4%となっていた(図表Ⅱ-1-11-10)。我が国での利用状況を年齢別にみると、20歳代の利用率が最も高く(13.6%)、「今後利用してみたい」と考えている割合も20歳代が最も高かった(27.2%)。

図表Ⅱ-1-11-10 仮想空間上での体験型エンターテインメントサービス利用状況(各国比較)
(出典)総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」
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【関連データ】仮想空間上のエンターテインメントサービス利用状況(年代別)

出典:総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」

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【関連データ】仮想空間上のエンターテインメントサービスが利用できない理由

出典:総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」

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ウ メディア利用時間

総務省情報通信政策研究所は、2012年から橋元 良明氏(東京大学名誉教授)、北村 智氏(東京経済大学コミュニケーション学部教授)ほか4との共同研究として、情報通信メディアの利用時間と利用時間帯、利用目的、信頼度などについて調査研究を行っている5。以下、2023年度の調査結果6を基に情報通信メディアの利用時間などについて概観する。

(ア)主なメディアの平均利用時間7と行為者率8

「テレビ(リアルタイム)視聴」9、「テレビ(録画)視聴」、「インターネット利用」10、「新聞閲読」及び「ラジオ聴取」の平均利用時間と行為者率を示したものが(図表Ⅱ-1-11-11)である。

全年代では、平日、休日ともに、「インターネット利用」の平均利用時間が最も長く、「テレビ(リアルタイム)視聴」がこれに続いている。休日の「インターネット利用」は、初めて200分を超過する結果となっている。行為者率については、「インターネット利用」の行為者率が、平日、休日ともに「テレビ(リアルタイム)視聴」の行為者率を超過している。

年代別にみると、平日の50代で「インターネット利用」の平均利用時間が「テレビ(リアルタイム)視聴」を初めて上回った。行為者率については平日、休日ともに10代から50代の「インターネット利用」の行為者率が「テレビ(リアルタイム)視聴」の行為者率を超過している。また、「新聞閲読」について、年代が上がるとともに行為者率が高くなっているが、前回2022年度調査結果と比較すると、40代から60代の行為者率も減少又はほぼ横ばいとなっている。

図表Ⅱ-1-11-11 主なメディアの平均利用時間と行為者率
(出典)総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
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(イ)メディアとしてのインターネットの位置付け

メディアとしてのインターネットの利用について、利用目的ごとに他のメディアと比較したものが(図表Ⅱ-1-11-12)である。

「いち早く世の中のできごとや動きを知る」ために最も利用するメディアとしては、全年代では「インターネット」が最も高い。年代別では、10代から50代では「インターネット」、60代では「テレビ」を最も利用している。

「世の中のできごとや動きについて信頼できる情報を得る」ために最も利用するメディアとしては、全年代では「テレビ」が最も高い。年代別では、20代では「インターネット」を最も利用しており、30代では「テレビ」と「インターネット」が同率、それ以外の各年代では「テレビ」を最も利用している。「新聞」は60代では「インターネット」を上回る水準で利用している。

「趣味・娯楽に関する情報を得る」ために最も利用するメディアとしては、全年代及び各年代で「インターネット」が最も高くなっており、10代から30代で「インターネット」の割合が90%前後となっている。

図表Ⅱ-1-11-12 目的別利用メディア(最も利用するメディア。全年代・年代別・インターネット利用非利用別)
(出典)総務省情報通信政策研究所「令和5年度情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査」
「図表Ⅱ-1-11-12 目的別利用メディア(最も利用するメディア。全年代・年代別・インターネット利用非利用別)」のExcel(1)はこちらEXCEL / Excel(2)はこちらEXCEL / Excel(3)はこちらEXCEL / CSV(1)はこちら / CSV(2)はこちら / CSV(3)はこちら
エ インターネットメディア等の利用状況

オンライン上で最新のニュースを知りたい時にどのような行動をとっているかについて尋ねたところ、日本では「ニュースサイト・アプリからのおすすめ情報をみる」(65.7%)、「SNSの情報をみる」(44.5%)割合が高く、テレビ、新聞、通信社などの既存マスコミを頼る人は相対的に少ない(図表Ⅱ-1-11-13)。

図表Ⅱ-1-11-13 オンライン上の最新情報の入手方法(国別)
(出典)総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」
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こうしたオンライン上を流れる情報について、情報の発信源(組織や人物)を確認するかを尋ねたところ、確認する(「ほぼ全てのニュースについて行う」、「よく行う」の合計)と回答した割合は日本で19.0%と、他国と比べて低い結果となった(図表Ⅱ-1-11-14)。

図表Ⅱ-1-11-14 情報の発信源(組織や人物)の確認頻度(国別)
(出典)総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」
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【関連データ】複数のニュース媒体(放送局や新聞社、通信社)による報道を比較する割合

出典:総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」

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【関連データ】政府等が公表する公的な情報を確認する割合

出典:総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」

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【関連データ】専門家やファクトチェック機関による検証結果を確認する割合

出典:総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」

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また、オンラインサービスやアプリ(検索サービスやSNSなど)の特性である、「検索結果やSNS、動画、音楽等、表示される情報があなたに最適化(パーソナライズ)されていること」、「SNS上でお勧めされるアカウントやコンテンツは、SNSの提供者がみてほしいアカウントやコンテンツが提示される場合があること」、「SNS等では、自分に近い意見や考え方に近い情報が表示されること」について、どの程度認識しているかを調査したところ、知っている割合(「よく知っている」、「どちらかと言えば知っている」の合計)は、日本ではいずれの項目においても50%未満となった。

【関連データ】検索結果やSNS等で表示される情報がパーソナライズされていることへの認識の有無

出典:総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」

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【関連データ】サービスの提供側がみてほしいアカウントやコンテンツが提示される場合があることへの認識の有無

出典:総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」

URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/datashu.html#f00341別ウィンドウで開きます(データ集)

【関連データ】SNS等で自分の考え方に近い意見や情報が表示されやすいことに対する認識の有無

出典:総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」

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3 他者とリアルタイムかつインタラクティブな関係を持つサービスである、オンラインゲーム、バーチャルイベント等のXRコンテンツ(仮想空間上の体験型エンターテインメントサービス)を指す。

4 青山学院大学総合文化政策学部助教 河井 大介氏。

5 「情報通信メディアの利用時間と情報行動に関する調査研究」:13歳から69歳までの男女1,500人を対象(性別・年齢10歳刻みで住民基本台帳の実勢比例。2023年度調査には2023年1月の住民基本台帳を使用)に、ランダムロケーションクォータサンプリングによる訪問留置調査で実施。

6 2023年度調査における調査対象期間は2023年12月2日〜12月8日。

7 調査日1日あたりの、ある情報行動の全調査対象者の時間合計を調査対象者数で除した数値。その行動を1日全く行っていない人も含めて計算した平均時間。

8 平日については、調査日2日間の1日ごとにある情報行動を行った人の比率を求め、2日間の平均をとった数値。休日については、調査日の比率。

9 テレビ(リアルタイム)視聴:テレビ受像機のみならず、あらゆる機器によるリアルタイムのテレビ視聴。

10 インターネット利用:機器を問わず、メール、ウェブサイト、ソーシャルメディア、動画サイト、オンラインゲームなど、インターネットに接続することで成り立つサービスの利用を指す。

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