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特集② 進化するデジタルテクノロジーとの共生
第2節 AIに関する各国の対応

(4) 国際連合の動向

前項のとおり、フロンティアAIに対する国際的なガバナンス体制への関心の高まりを受けて、2023年7月の国連安全保障理事会においては、英国主導でAIに関する議論が行われた。グテーレス国連事務総長は同年10月に、事務総長の諮問機関として、AIハイレベル諮問機関を立ち上げ、日本人の構成員も参加している。また、2024年3月21日、国連総会において、日本も共同提案国である、「持続可能な開発のための安全、安心で信頼できるAIシステムに係る機会確保に関する決議」9をコンセンサスで採択し、同決議案は、安全、安心で信頼できるAIに関する初めての国連総会決議となった。同決議案は「持続可能な開発のための2030アジェンダ」の達成に向けた進捗を加速し、デジタルディバイドを解消するため、安全、安心で信頼できるAIを促進しており、加盟国に対し、安全、安心で信頼できるAIに関連する規制・ガバナンスアプローチの策定・支持を推奨している。さらに、加盟国及びステークホルダーに対し、AI設計・開発中のリスク特定・評価・軽減のためのイノベーション促進や、データ保全のためのリスク管理メカニズムの策定・実施・公表等の手段を通じて、AIシステムが世界の課題に対応できるための環境を整備するよう推奨している。また、AIシステムのライフサイクルを通じて、人権及び基本的自由が尊重され、保護され、促進されるべきことを強調している。

同決議案は、AIの国際ルールづくりに向け、広島AIプロセスをはじめ、G7やG20、OECD等で進めてきた議論を反映したものであり、国連総会決議には国際法上の拘束力はないものの、コンセンサスで加盟国が採択したということから、国際社会の総意としての政治的な重みを持つものである。



9 United Nations General Assembly, A/78/L.4
<https://documents.un.org/doc/undoc/ltd/n24/065/92/pdf/n2406592.pdf?token=0e5FKl9eh5r1MmYPD3&fe=true別ウィンドウで開きます>(2024/3/22参照)

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