経済と金融を扱っている国連総会第二委員会では、経済社会理事会(ECOSOC:Economic and Social Council)に設置されている「開発のための科学技術委員会」(CSTD:Commission on Science and Technology for Development)を中心に包摂的なデジタル社会に向けたグローバルなデジタル協力の推進、インターネットの公共性などの論点を中心に議論されており、我が国は毎年開催されるCSTD年次会合への参加などを通じ、インターネットガバナンスをはじめとした情報通信分野に関する国際的な議論の推進に貢献している。
インターネット・ガバナンス・フォーラム(IGF:Internet Governance Forum)は、インターネットに関する様々な公共政策課題について、政府、民間、技術・学術コミュニティ、市民社会等のマルチステークホルダーが対等な立場で対話を行うインターネット政策の分野で最も重要な国際会議の1つである。
2023年(令和5年)10月、我が国がホスト国として、国立京都国際会館(京都府京都市)において、第18回会合を開催し、現地参加者は史上最多の6000人以上と多くの参加者が同会合に出席した。オープニングセレモニーでは、岸田総理大臣が開会挨拶として、民主主義社会の基盤としてのインターネットの重要性について強調するとともに、インターネットの恩恵を最大化するために、負の側面への対応を含め、「マルチステークホルダーアプローチの議論」を支持・コミットすることを力強く表明した。
また、オープニングセレモニーに続いて実施したAI特別セッションでは、我が国が議論をリードしている広島AIプロセスについて、広く国際社会に発信した。岸田総理大臣のキーノートスピーチでは、「グローバルサウスを含む国際社会全体が、安心・安全・信頼できる生成AIの恩恵を享受し、更なる経済成長や生活環境の改善を実現できるような国際的なルール作りを牽引」していくことを強調した。また、鈴木総務大臣から、「AI開発者向けの国際的な指針及び行動規範」の議論の状況について紹介したほか、今後も様々な関係者の意見を伺う取組を続ける旨を表明した。本セッションを通じ、G7以外も含めた各国政府、産業界、国際機関、学術界などのマルチステークホルダーのパネリストから、広島AIプロセスへの賛同や期待の声が寄せられた。
その他、総務省として10個のセッションを主催し、多様なテーマについて議論した(各セッションのテーマ:Beyond 5G、HAPS(High Altitude Platform Station)、レジリエンス、セキュリティ、メタバース、AI、偽情報、DFI(Declaration for the Future of the Internet)、O-RAN、WSIS(World Summit on the Information Society))。
さらに、IGF開催期間を通じて会場内に展示会場(「IGF Village」)が併設され、世界から72の企業・団体が出展した。我が国からは電気通信事業者や研究機関等25の企業・団体が遠隔ロボットやマンガ海賊版対策等に関する出展を行い、ブースを訪れた各国からの参加者との交流を通じて国際社会に対し我が国の技術力や取組を積極的に発信した。