我が国の公的分野のデジタル化に関する世界での位置付けについて、国際指標に基づいて概観する。
国連経済社会局(UNDESA)による電子政府調査は、国連加盟国におけるICTを通じた公共政策の透明性やアカウンタビリティを向上させ、公共政策における市民参画を促す目的で実施され、2003年から始まり、2008年以降は2年に1回の間隔で行われている。この調査では、オンラインサービス指標(Online Service Index)、人的資本指標(Human Capital Index)、通信インフラ指標(Telecommunications Infrastructure Index)の3つの指標を元に平均してEGDI(電子政府発展度指標)を出して順位を決めている。
2022年の世界電子政府ランキングでは、前回調査(2020年)に引き続きデンマークが1位であり、2位がフィンランド、3位が韓国、4位がニュージーランド、5位がスウェーデンと続く。日本は14位であり、前回と同順位であるが、スコアは前回調査より上昇した。過去からの推移をみると、日本はおおむね18位から10位の間で推移している(図表Ⅱ-1-11-23)。
個別指標の順位をみると日本は「e-Participation Index(電子行政参加)」部門において、前回の4位から順位を上げ、1位を獲得した。e-Participation Indexでは、「e-information(情報提供)」「e-consultation(対話・意見収集)」「e-decision-making(意思決定)」という3つの分野の調査結果を基にスコアリングされるところ、日本はInformation 0.9818、Consultation 1.0000、Decision-making 1.0000と、すべてにおいて高い評価を受けている。
早稲田大学電子政府・自治体研究所は、世界のICT先進国66か国を対象に、各国のデジタル政府推進について進捗度を主要10指標(35サブ指標)で多角的に評価する「世界デジタル政府ランキング」を、2005年から毎年公表している。上位から1位:デンマーク、2位:カナダ、3位:イギリス、4位:ニュージーランド、5位:シンガポールとなった。デンマークは3年連続で1位となり、日本は国民視点のデジタル化、並びに行財政改革推進に十分な進捗がみられず、調査開始から初めてトップ10圏外となった。日本の課題と構造的弱点として、官庁の縦割り行政の弊害、スピード感の欠如等が引続きの課題として指摘されており、司令塔機関としてのデジタル庁の役割、権限の実効性に課題が残るとされている。また、政府と自治体の法的分離による意思決定の複雑性、都道府県・市区町村の行財政・デジタル格差の拡大等が指摘されている。
【関連データ】早稲田大学「世界デジタル政府ランキング」における日本の順位推移
出典:早稲田大学 電子政府自治体研究所
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/datashu.html#f00365(データ集)
マイナンバーカードの人口に対する交付枚数は、2024年3月17日時点で78.5%まで到達している(交付枚数から死亡や有効期限切れなどにより廃止されたカードの枚数を除いた保有枚数は73.3%)。また、マイナンバーカードの健康保険証としての登録は、2024年1月21日時点で、累計約7,207万枚、マイナンバーカード累計発行数に対する登録率は73.8%である。公金受取口座の登録については、同じく2024年1月21日時点で、累計登録数が約6,265万件、マイナンバーカード累計発行数に対する登録率は64.2%である。
【関連データ】マイナンバーカード交付状況
出典:総務省「マイナンバーカード交付状況について」を基に作成
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/datashu.html#f00366(データ集)
【関連データ】マイナンバーカードの健康保険証としての登録状況推移
出典:デジタル庁「マイナンバーカードの普及に関するダッシュボード」(2024年3月25日取得データ))を基に作成
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/datashu.html#f00367(データ集)
【関連データ】公金受取口座の登録状況推移
出典:デジタル庁「マイナンバーカードの普及に関するダッシュボード」(2024年3月25日取得データ)を基に作成
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/datashu.html#f00368(データ集)
「デジタル社会の実現に向けた重点計画」(令和4年6月7日閣議決定)において、地方公共団体が優先的にオンライン化を推進すべき手続とされている59手続におけるオンライン利用実績は、以下のとおりである(図表Ⅱ-1-11-24)。
AIの導入済み団体数は、2021年度時点で、都道府県・指定都市で100%となった。その他の市区町村は45%となり、実証中、導入予定、導入検討中を含めると約69%の地方自治体がAIの導入に向けて取り組んでいる(図表Ⅱ-1-11-25)。機能別にみると、上位3分野(音声認識、文字認識、チャットボットによる応答)はすべての規模の地方自治体で導入が進んでいる。下位4分野(マッチング、最適解表示、画像・動画認識、数値予測)は都道府県レベルでも導入事例が少ないものの、数値予測を除き調査開始以降一貫して増加してきている。
【関連データ】地方自治体におけるAI導入状況(AIの機能別導入状況)
出典:総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進」
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/datashu.html#f00371(データ集)
また、RPA導入済み団体数は、都道府県が94%まで増加し、指定都市が100%となった。その他の市区町村は36%となり、実証中、導入予定、導入検討中を含めると約67%の地方自治体がRPAの導入に向けて取り組んでいる(図表Ⅱ-1-11-26)。分野別にみると、「財政・会計・財務」、「児童福祉・子育て」、「健康・医療」、「組織・職員(行政改革を含む)」への導入が多い。
【関連データ】地方自治体におけるRPA導入状況(RPAの分野別導入状況)
出典:総務省「自治体におけるAI・RPA活用促進」
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/datashu.html#f00373(データ集)
2023年10月時点で、都道府県及び政令指定都市では全団体で導入済み、市区町村では、2022年10月時点では62.9%であったところ、2023年10月時点では、新型コロナウイルス感染症の感染症法上の位置付けが5類感染症に変更されたこと等を理由としてわずかに低下し、60.1%となっている(図表Ⅱ-1-11-27)。
13 https://www.soumu.go.jp/denshijiti/060213_02.html
14 https://www.soumu.go.jp/main_content/000934146.pdf
15 https://www.soumu.go.jp/main_content/000934146.pdf
16 総務省「地方公共団体におけるテレワーク取組状況」(令和元年10月1日時点、令和2年10月1日時点、令和3年10月1日時点、令和4年10月1日時点、令和5年10月1日時点)(https://www.soumu.go.jp/main_content/000920596.pdf)