ロシアによるウクライナへの侵攻、重要インフラに対する国境を越えたサイバー攻撃や偽情報の拡散等、我が国を取り巻く国際情勢は複雑化している。このような中、2022年(令和4年)5月に成立した経済施策を一体的に講ずることによる安全保障の確保の推進に関する法律(令和4年法律43号)においては、特定社会基盤役務の安定的な提供の確保に関する制度の対象となり得る事業分野として「電気通信事業」「放送事業」「郵便事業」が挙げられており、今後同制度が実効的に運用されるよう、着実に取り組むこととしている。今後も国際社会とも連携しつつ、強靱なICTインフラの構築、サイバーセキュリティやサプライチェーンの強化などに取り組んでいく必要がある。
また、気候変動問題が深刻化する中、我が国は、2020年(令和2年)10月、2050年までに温室効果ガスの排出を全体としてゼロにする、カーボンニュートラルの実現を目指すことを宣言しており、その後2021年(令和3年)6月に策定された「成長戦略実行計画」において、情報通信産業のグリーン化について①デジタル化によるエネルギー需要の効率化・省CO2化の促進(グリーンby ICT)と、②デジタル機器・情報通信産業自身の省エネ・グリーン化(グリーンof ICT)の二つのアプローチを両輪として推進するとされている。
我が国のインターネットトラヒック1は、新型コロナウイルス感染症の感染拡大前(2019年(令和元年)11月)と比較して、2023年(令和5年)11月時点で約2.7倍に急増している。今後もトラヒック増大が見込まれるなか、ICT関連機器などの消費電力も増加傾向にあり、ICT自身のグリーン化が求められている。
1 固定系ブロードバンド契約者の総ダウンロードトラヒック