経済協力開発機構(OECD:Organisation for Economic Co-operation and Development)のデジタル政策委員会(DPC:Digital Policy Committee、旧デジタル経済政策委員会(CDEP:Committee on Digital Economy Policy))では、ICT分野について先導的な議論が行われており、総務省は、OECD事務局への人材や財政面の支援を行うほか、DPC議長(2020年(令和2年)1月〜)や、各作業部会副議長を総務省から輩出するなど、OECDにおける政策議論に積極的に貢献している。
DPCは、2016年(平成28年)からAIに関する取組を進めており、AIに携わる者が共有すべき原則や政府が取り組むべき事項などを示し、AIに関する初の政府間の合意文書となる「AIに関する理事会勧告」を2019年(令和元年)5月に採択・公表した。その後も、AIに関するオンラインプラットフォーム「AI政策に関するオブザーバトリー(OECD.AI)」の立ち上げ(2020年(令和2年)2月)や、AIガバナンス作業部会(AIGO)の設置(2022年(令和4年)5月)など、積極的な取組を進めている。
2022年(令和4年)12月には、スペイン・グランカナリアでデジタル経済に関する閣僚会合が開催され、DFFTや信頼できるAI、次世代インフラ開発に向けた課題認識や方向性を取りまとめた「信頼性のある、持続可能で、包摂的なデジタルの未来」に関する閣僚宣言を採択した。
2023年(令和5年)3月には、フランス・パリで総務省とOECDの共催で第4回OECDデジタルセキュリティ・グローバルフォーラム(OECD Global Forum on Digital Security for Prosperity)が開催され、IoT製品のデジタルセキュリティ、AIのデジタルセキュリティ及び政策立案者と技術者の交流という3つのテーマを柱に、パネルディスカッションが行われた15。
2024年(令和6年)5月には、フランス・パリでOECD閣僚理事会(Meeting of the OECD Council at Ministerial Level:MCM)が開催され、OECD加盟から60周年を迎える日本が議長国を務めた。MCMでは「広島AIプロセス」の成果も踏まえた議論が行われ、閣僚声明ではOECD加盟国がその成果に賛同し、実践に向けた取組を協力して進める旨が明記されるとともに、「AIに関する理事会勧告」の改定が行われた。
15 https://www.oecd.org/digital/global-forum-digital-security/