社会全体のデジタル・トランスフォーメーション(DX)の推進により、サイバー空間は誰もが日常的に利用するようになってきている一方で、フィッシング詐欺やランサムウェア被害の報告件数が年々深刻化するなど、サイバー空間を取り巻くリスクは時代や環境とともに変化してきている。
特に、近年、サイバー空間は、厳しい安全保障環境や地政学的緊張も反映しつつ国家間の争いの場となっており、各国では政府機関や重要インフラを狙ったサイバー攻撃が多く発生しているほか、我が国でも港湾や医療機関、政府機関等を狙った深刻なサイバー事案が発生している状況にある。さらに、生成AI等の新しい技術が登場し、利便性が増す一方で、それらの悪用によるリスクの拡大も指摘されている。
サイバー空間が公共空間化する中で、これらの情勢変化を認識しつつ、その基盤となるIoTや5Gを含むICT(情報通信技術)を国民一人ひとりが安心して活用できるよう、サイバーセキュリティを確保することがますます重要になっている。
これらを踏まえ、以下で述べるとおり、情報通信ネットワークの安全性・信頼性の確保、サイバー攻撃への自律的な対処能力の向上、国際連携の推進、普及啓発の推進を行う必要がある。