インターネット上の違法・有害情報の流通は引き続き深刻な状況であり、総務省では、関係者と連携しつつ、誹謗中傷、海賊版などの様々な違法・有害情報に対する対策を継続的に実施してきている。
総務省では、インターネット、特にソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)をはじめとするプラットフォームサービス上における誹謗中傷に関する問題が深刻化していることを踏まえ、2020年(令和2年)9月に取りまとめ、公表した「インターネット上の誹謗中傷への対応に関する政策パッケージ」に基づき、関係団体などと連携しつつ、次のような取組を実施している。
① ユーザーに対する情報モラル及びICTリテラシー向上のための啓発活動
② プラットフォーム事業者の自主的な取組の支援及び透明性・アカウンタビリティの向上(プラットフォーム事業者に対する継続的なモニタリングの実施)
③ 発信者情報開示に関する取組(令和3年改正プロバイダ責任制限法11の円滑な運用)
④ 相談対応の充実(違法・有害情報相談センターの体制強化、複数の相談機関間における連携強化及び複数相談窓口の案内図の周知)
特に、①の取組の一環として、総務省においては、誹謗中傷等の被害に遭われたときの対処法について改めて周知するため、VTuberとの啓発動画を作成し、2023年(令和5年)9月下旬に公開した。
また、「プラットフォームサービスに関する研究会」において、プラットフォーム事業者へのヒアリング等を行い、2022年(令和4年)8月、違法・有害情報への対応について今後の方向性などを取りまとめた「第二次とりまとめ」を公表した。
これを踏まえ、①プラットフォーム事業者による削除等の透明性・アカウンタビリティ確保のあり方、②違法・有害情報の流通を実効的に抑止する観点からのプラットフォーム事業者が果たすべき役割のあり方をはじめとした誹謗中傷等の違法・有害情報への対策を主な論点とした上で、専門的・集中的に検討するための有識者会合として、2022年(令和4年)12月から「誹謗中傷等の違法・有害情報への対策に関するワーキンググループ」を開催した。本ワーキンググループでの議論の結果、誹謗中傷等の違法・有害情報の削除等について、法制上の手当てを含め、①一定期間内の応答義務等を課すことによる対応の迅速化、②基準の策定や運用状況の公表等による透明化等を、不特定者間の交流を目的とするサービスのうち、一定規模以上等の事業者に求めることが適当と取りまとめられた。本ワーキンググループの取りまとめを受け、2024年(令和6年)2月、「プラットフォームサービスに関する研究会 第三次とりまとめ」が公表されるとともに、本報告書を踏まえ、2024年(令和6年)5月、プロバイダ責任制限法の一部改正法が成立した。なお、本改正法により、プロバイダ責任制限法の題名は「特定電気通信による情報の流通によって発生する権利侵害等への対処に関する法律」(略称:情報流通プラットフォーム対処法)に改められた。
総務省では、「インターネット上の海賊版対策に係る総務省の政策メニュー」(2020年(令和2年)12月)に基づき、ユーザーに対する情報モラル及びICTリテラシーの向上のための啓発活動、セキュリティ対策ソフトによるアクセス抑止機能の導入の促進、発信者情報開示制度の見直し、ICANNなどの国際的な場における議論を通じた国際連携の推進に取り組んでいる。
また、「インターネット上の海賊版サイトへのアクセス抑止に関する検討会」による「現状とりまとめ」(2022年(令和4年)9月)を踏まえ、総務省の政策メニューや関係事業者等における取組の進捗を確認している。
11 特定電気通信役務提供者の損害賠償責任の制限及び発信者情報の開示に関する法律の一部を改正する法律(令和3年法律第27号)