世界のパブリッククラウドサービスへの支出額は2023年に5,636億ドルまで増加すると見込まれている(図表Ⅱ-1-8-3)。要因としては、ビジネスを展開する上でクラウドが不可欠なものになっていることに加え、生成AIを中心とした新技術の普及が挙げられる。生成AIについては、多様な業種への適用が考えられるものの、規模や特性に応じてカスタマイズ(アルゴリズム、コスト、主権、プライバシー、持続可能性等)が必要となるため、効果的に導入するためにはクラウドサービスの活用が見込まれる。世界のクラウドインフラサービス2への支出額のシェアは引き続きAmazon、Microsoft、Googleの順に大きく、3社で7割近いシェアを占めている。2023年第4四半期時点でAmazonはおよそ31%、Microsoftは24%、Googleは11%となっており、近年はMicrosoftとGoogleのシェア拡大が目立っている(図表Ⅱ-1-8-4)。市場は依然として寡占化が進んでおり、大手3社以外のクラウドプロバイダーは、特定の領域に焦点を当てたり、大手3社などとの連携を図ることによって市場獲得を狙うことが重要だと考えられる。
日本のパブリッククラウドサービス市場5は、高い成長率を遂げ、2023年は3兆1,355億円(前年比25.8%増)にまで増加する見込みである(図表Ⅱ-1-8-5)。
また、日本のPaaS市場、IaaS市場では、大手クラウドサービス(AWS(Amazon)、Azure(Microsoft)、GCP(Google))の利用率の高さが際立っている。特に、AWSは、PaaS/IaaS利用企業の半数以上を占めており、1年前と比較すると10ポイント以上増えている。
【関連データ】PaaS/IaaS利用者のAWS、Azure、GCP利用率
出典:MM総研「国内クラウドサービス需要動向調査」(2022年6月時点)
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/datashu.html#f00281(データ集)
2 IaaS、PaaS、ホスティング型プライベートクラウドの合計
3 https://www.statista.com/statistics/273818/global-revenue-generated-with-cloud-computing-since-2009/
5 特別の規制や制限を設けずに幅広いユーザーに対して提供されるIT関連機能に特化したクラウドサービスを対象としている。
6 https://www.idc.com/getdoc.jsp?containerId=prJPJ49684222