日本、米国、ドイツ、中国の企業にデジタル化の取組状況について調査を行い、「わからない」と回答した人を除いて集計したところ11、日本ではデジタル化に関連する取組を未実施(「実施していない、今後実施を検討(10.6%)」、「実施していない、今後も予定なし(39.7%)」の合計)と回答した割合が約50%となり、海外に比べてデジタル化推進が遅れていた。日本での取組状況を企業規模別にみると、大企業では約25%、中小企業では約70%が「未実施」と回答しており、企業の規模によりデジタル化の取組状況に差異が生じている(図表Ⅱ-1-11-15)。
日本企業においては、新しい働き方の実現(テレワークなど)や、業務プロセスの改善・改革(ERPによる業務フロー最適化など)のデジタル化における全社的な取組が多い一方で、新規ビジネス創出や顧客体験の創造・向上のデジタル化における全社的な取組は少ない。日本企業においては、相変わらず攻めのデジタル化よりも守りのデジタル化に取組む傾向がある。米国企業においては、新規ビジネス創出については全社一体となって取組んでいるが、顧客体験の創造・向上については部分的な部署で取組む傾向がある(図表Ⅱ-1-11-16)。
【関連データ】デジタル化の取組状況(日本:企業規模別比較)
出典:総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/datashu.html#f00344(データ集)
デジタル化の効果について、「新規ビジネス創出」、「顧客体験の創造・向上」、「既存製品・サービスの高付加価値化」、「業務プロセスの改善・改革」、「業務の省力化」、「新しい働き方の実現」の観点でそれぞれ調査したところ、日本では各観点に共通して「期待以上」の回答が最も少なく、「期待する効果を得られていない」との回答は4か国の中で最も多い。
【関連データ】デジタル化の効果
出典:総務省2024「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/datashu.html#f00346(データ集)
デジタル化に関して現在認識している、もしくは今後想定される課題や障壁として、日本企業は「人材不足(42.1%)」の回答割合が最も大きく、他国企業と比較して圧倒的に高い割合となった。次いで「アナログな文化・価値観が定着している(29.3%)」、「DXの役割分担や範囲が不明確(28.3%)」の回答割合が高かった(図表Ⅱ-1-11-17)。
日本企業においては特にUI・UXに係るデザイナーや、AI・デジタル解析の専門家が他国に比べて少ない点が顕著である。UI・UXに係るデザイナーが「在籍している」と回答した割合は、日本企業では18.3%に対して他国企業では約60%から約70%であり、AI・デジタル解析の専門家が「在籍している」と回答した割合は、日本企業では18.8%に対して他国企業では約60%から約80%であった(図表Ⅱ-1-11-18)。
【関連データ】デジタル人材の確保に向けた取組状況(国別)
出典:総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/datashu.html#f00349(データ集)
また、システム開発の内製化状況について尋ねたところ、日本では、システム開発を自社主導で実施している(「ほぼすべての開発を自社エンジニアで実施」と「主に自社エンジニアで開発、一部の開発を外部ベンダで実施」の合計)と回答したのは41.3%となっていた。一方で、海外では自社主導での開発を行っていると回答したのは約85〜95%となっており、日本と大きな差があった。
【関連データ】システム開発の内製化状況(各国比較)
出典:総務省(2024)「国内外における最新の情報通信技術の研究開発及びデジタル活用の動向に関する調査研究」
URL:https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r06/html/datashu.html#f00350(データ集)
11 本調査サンプル数確保まで収集したスクリーニングデータをもとに集計した。