メタバースとは、インターネット上に仮想的につくられた、いわばもう1つの世界であり、利用者は自分の代わりとなるアバターを操作し、他者と交流するものである。仮想空間でありながら、メタバース上で購入した商品が後日自宅に届くなど、現実世界と連動したサービスも試験的に始まっているほか、仮想的なワークスペースとしてBtoBでの活用への広がりも期待されている2。
また、現実空間を仮想空間に再現する概念として「デジタルツイン(Digital Twin)」がある。デジタルツインとは、現実世界から集めたデータを基に仮想空間上に現実世界の要素を双子(ツイン)のように再現・構築し、様々なシミュレーションを行う技術である。メタバースとデジタルツインは、それらが存在する空間が仮想空間である点は共通であるが、その空間に存在するものが実在しているものを再現しているかどうかを問わないメタバースに対して、デジタルツインは、シミュレーションを行うためのソリューションという位置づけであるため、現実世界を再現している点が異なる。また、メタバースは、現実にはない空間でアバターを介して交流したり、ゲームをしたりというコミュニケーションが用途とされることが多いのに対して、デジタルツインは、現実世界では難しいようなシミュレーションを実施するために使われることが多い3。
メタバースの市場規模は、2022年の461億ドルから2030年には5,078億ドルまで拡大すると予測されている(図表Ⅰ-3-2-3)。
生成AIにより、2D画像・3Dモデルの自動生成やプログラム作成支援など、メタバース上の創作活動における一部の過程を簡略化することができる。これにより、技術・知識的なハードルが下がり、利用者の拡大につながることが期待されている。また、敵対的生成ネットワーク(GAN:Generative Adversarial Networks)などの機械学習を用いることで、デザイン経験のない人でも自分のアバター等を作ることができ、仮想空間の中に巨大な経済圏が誕生する可能性を秘めている。
2 日経Xトレンド,「メタバースとは?本当に普及する?基礎がわかる8つのポイント」2022年4月14日,<https://xtrend.nikkei.com/atcl/contents/skillup/00008/00020/>(2024/3/22参照)
3 総務省,「令和5年版 情報通信白書」,<https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/r05.html>
4 https://www.statista.com/outlook/amo/metaverse/worldwide