第Ⅰ部 特集① 令和6年能登半島地震における情報通信の状況
第2節 通信、放送、郵便等の状況

第2節 通信、放送、郵便等の状況

1 通信インフラへの被害

(1) 固定通信

固定通信については、石川県輪島市、珠洲市、志賀町等を中心に、サービスが利用できない状況が発生した。NTT西日本によると、今般の震災により通信ビルが停電したほか、土砂崩れなどの影響で中継伝送路やケーブルが損傷し、大規模なサービス障害が発生、最大で固定電話7,860回線、固定インターネット約1,500回線に影響した1

サービス再開に向け、移動電源車や発電機を活用した通信ビルへの電力の供給、ケーブルの損傷修理、断線区間へのケーブル新設、被害を受けていない中継伝送路への迂回等による基幹設備の復旧が進められた。また、被災者の通信確保のため、衛星携帯電話やポータブル衛星電話が配備された2。5月末時点で、石川県輪島市の一部(アナログ電話:約180回線、ひかり電話:約40回線)を残し、復旧が進んでいる3

図表Ⅰ-1-2-1 固定電話及び固定インターネットの支障回線数の推移(被害報ベース)
図表Ⅰ-1-2-2 NTT西日本の通信設備の応急復旧状況(1月17日時点)
(出典)西日本電信電話

また、石川県の固定系超高速ブロードバンド市場において約17%のシェアを占めるCATVアクセスサービスにおいては4、センター施設や伝送路に甚大な被害が発生した5。4月12日時点で、石川県珠洲市の一部(能越ケーブルネット)、輪島市の一部(輪島市ケーブルテレビ)において、幹線は一部復旧済みであるものの、伝送路断が続いている状況である。



1 通信ビルの被害状況。そのほか、ソフトバンクの固定電話についても、149回線に支障が生じた。

2 NTT西日本「令和6年能登半島地震の影響により被災・避難されたお客さまへの支援とご案内について」
<https://www.ntt-west.co.jp/share/shien.html別ウィンドウで開きます>(2024年4月30日閲覧)
衛星携帯電話を最大8台、ポータブル衛星電話を延べ25か所にて配備・運用していたが、設置場所の通信サービスの復旧に伴い、配備を終了(2024年3月22日20時00分 時点)

3 総務省,令和6年能登半島地震に係る被害状況等について(第104報)(2024年5月28日)

4 総務省(2023年8月),「令和4年度(2022年度)電気通信事業分野における市場検証に関する年次レポート」,<https://www.soumu.go.jp/main_content/000900509.pdfPDF>

5 ケーブルテレビの被害状況については、第1章第2節2.「放送網への被害」も参照

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