電話等の音声サービスに係る接続(音声接続)においては、音声通話の双方向性に応じて、接続する事業者同士が相互に接続料を支払い合う形態が典型的であったところ、固定電話網のIP網への移行(2025年(令和7年)1月完了予定)等の環境変化を踏まえて、制度・ルールの在り方についても様々な議論が行われてきた。
その中で、総務省では、音声接続において、事業者同士が相互に接続料を支払わないこととする「ビル&キープ方式」等の音声接続の見直しについて、2023年(令和5年)以降、「接続料の算定等に関する研究会」で議論を進めた。この議論の結果を踏まえ、2024年(令和6年)3月、MNO等の指定電気通信設備設置事業者も含め、接続当事者間の合意に基づき「ビル&キープ方式」を選択可能とするための制度整備を行った(電気通信事業法施行規則等の一部改正(令和6年総務省令第14号))。
また、固定電話網のIP網への移行後にNTT東日本・西日本が提供する「メタルIP電話」等に適用される接続料の具体的な算定方法について、2023年(令和5年)10月に情報通信審議会に諮問し、2024年(令和6年)6月に答申を受けた。今後、これを踏まえて、具体的な算定方法等を省令に規定する予定である。
電気通信事業法では、主要なネットワークを設置する特定の事業者に対して、接続料・接続条件の公平性・透明性、接続の迅速性を確保するための規律(指定電気通信設備制度)を課しているところ、総務省では、指定電気通信設備の接続料について、認可・届出等の行政手続の中で適正性を確保するとともに、「接続料の算定等に関する研究会」における議論等により、その算定方法の適正性の向上を図っている。
移動通信におけるMNOのネットワークに関する接続料(モバイル接続料)については、2023年(令和5年)9月の「接続料の算定等に関する研究会 第七次報告書」において、音声通信に関する接続料とデータ通信に関する接続料の双方を算定する際の考え方(費用・資産の配賦基準)がMNO各社で異なることが指摘された。総務省では、同報告書を踏まえて第二種指定電気通信設備接続会計規則を改正(電気通信事業法施行規則等の一部を改正する省令(令和5年総務省令第99号))するとともに、同研究会の下で「モバイル接続料費用配賦ワーキンググループ」を開催し、統一的な配賦基準の考え方等を整理した。
固定通信におけるNTT東日本・西日本のネットワークに関する接続料についても、同研究会において、報酬額(適正利潤)の算定方法や加入光ファイバの「残置回線」の取扱いの見直し等、所要の整理を進めた。
指定電気通信設備を用いて提供される卸電気通信役務については、卸元事業者の交渉上の優位性等を是正し、卸元事業者・卸先事業者間の協議の適正性を確保するため、電気通信事業法の一部を改正する法律(令和4年法律第70号)により、そのうち事業者間の適正な競争関係に及ぼす影響が少なくないものの役務提供義務や協議における情報提示義務が課されることとなった。
総務省では、「接続料の算定等に関する研究会」等において、改正法施行後の協議状況・制度の運用状況を確認するとともに、卸電気通信役務と接続機能の代替性に着目した卸料金の検証に関する議論を行うなど、卸電気通信役務の提供に関する協議が活発・実質的に行われること等により、第一種指定電気通信設備及び第二種指定電気通信設備の利用において「接続」と「卸電気通信役務」の利用形態を適正に並立させるための取組を引き続き行っている。