総務省｜令和6年版情報通信白書

第Ⅱ部　情報通信分野の現状と課題

第8節　ICT国際戦略の推進

（2）　欧州との協力

ア　欧州連合（EU）との協力

総務省は、欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局との間で、ICT政策に関する情報交換・意見交換の場として「日EU・ICT政策対話」（直近は2024年（令和6年）2月の第29回会合）を、デジタル分野における官民の連携・協力を推進するため「日EU・ICT戦略ワークショップ」（直近は2022年（令和4年）4月の第13回会合）をそれぞれ開催している。

第29回日EU・ICT政策対話では、5G/Beyond 5G（6G）、サイバーセキュリティ、オンラインプラットフォーム、AI、海底ケーブルについて議論を行った。

また、2022年（令和4年）5月、日本とEUの間で、日EUデジタルパートナーシップが立ち上げられた。日本側はデジタル庁、総務省、経済産業省、EU側は欧州委員会通信ネットワーク・コンテンツ・技術総局が中心となり、日EUのデジタル分野における共同の優先事項を扱う。2024年（令和6年）4月に開催した第2回閣僚級会合においては、5G/Beyond 5G（6G）、AI、海底ケーブルなどについて議論を行い、本会合の成果として共同声明21を発出した。

イ　欧州諸国との二国間協力

（ア）英国

総務省は、2022年（令和4年）5月に、デジタル庁、経済産業省とともに、デジタル分野における日英間の共同優先事項に取り組むための枠組みに基づく局長級会合として、英国との間で日英デジタルグループを立ち上げ、同年10月に第1回会合を実施した。さらに、ハイレベルで日英協力を加速していくため、同年12月には日英の関係省庁の政務級による会合を実施し、前述の局長級会合の上位に政務級会合を位置付け、日英デジタルパートナーシップとして改めて立ち上げ、重点的に協力する分野について合意した。2024年（令和6年）1月には、第2回政務級会合を開催し、上述の分野での取組の進捗及び今後の方向性を記載した成果文書22を発出した。

（イ）ドイツ

2023年（令和5年）3月に経済安全保障をテーマとした「日独政府間協議」が東京で開催され、日独首脳及び総務大臣を含む関係閣僚が参加し、通信インフラを含む重要インフラ保護施策の重要性などに言及した共同声明を会合の成果として発表した。

また、2023年（令和5年）4月には、総務省と連邦デジタル・交通省との間で、ICT分野に係る協力覚書23に署名し、5Gネットワーク開発と整備におけるオープンでセキュアな通信インフラ構築、Beyond5G/6G等の振興、AIをはじめとしたICT分野における協力を推進していくことで合意した。

こうした取組に加え、総務省は、日独両国間の情報通信分野における政策面での相互理解を深め、両国間の連携・協力を推進するため、連邦デジタル・交通省との間で「日独ICT政策対話」を開催している。

2023年（令和5年）6月には、第7回会合を対面及びオンラインのハイブリッドで開催し、Open RANに係る双方の取組やBeyond 5Gの実現に向けた研究開発の進捗、AI、違法・有害情報（誹謗中傷、偽情報等）対策、スマートシティやメタバース等のICTの利活用について議論を行い、両国間の引き続きの連携を確認したほか、官民会合も設けられ、5G/OpenRAN、AI、Beyond5G/6G等に関する日独双方の産業界の取組について情報交換を行った。

また、連邦経済・気候保護省との間では、2022年度（令和4年度）から共同で5G高度化の研究開発協力が進められている。加えて2023年（令和5年）5月には、連邦教育研究省との間で、Beyond 5G/6Gや将来の通信技術に関する協力に係る協力趣意書24に署名した。

（ウ）フランス

総務省は、フランス共和国・経済・財務・産業及びデジタル主権省との間で、ICT分野での重要テーマに関する最新の取組について情報共有を図るため、日仏ICT政策協議を開催しており、直近は2023年（令和5年）11月に第22回会合を開催した。

（2） 欧州との協力

ア 欧州連合（EU）との協力