HAPS、衛星通信等の非地上系ネットワーク(NTN, Non-Terrestrial Network)は、移動通信ネットワークについて、地上に限定せず、海や空、宇宙に至る全てを多層的につなげるものであり、離島、海上、山間部等の効率的なカバーや、自然災害をはじめとする非常時等に備えた通信手段として地上系ネットワークの冗長性の確保に有用である。
総務省では、「デジタル田園都市国家インフラ整備計画」(令和4年3月策定、令和5年4月改訂)に基づき、NTNの早期国内展開等に向け、関連する制度整備を進めるなど、サービス導入促進のための取組を推進している。
具体的には、HAPSについては、研究開発支援のほか、技術実証の実施を通じて国内制度の整備等を進めるとともに、社会実装に向けて関係府省庁との連携や、2025年(令和7年)の大阪・関西万博での実証・デモンストレーション等を通じて海外展開に取り組んでいくこととしている。また、HAPSで利用可能な周波数を拡大するため、周波数の確保にも取り組んでおり、2023年(令和5年)11月から12月にかけて開催された世界無線通信会議(WRC-23)では、我が国が議論をリードし、1.7GHz帯、2GHz帯及び2.6GHz帯は、全世界で、700MHz帯は、第1地域(欧州、アフリカ)・第2地域(北南米)では地域全体で、第3地域(アジア)では我が国を含む14カ国で、HAPSの携帯電話用基地局としての利用が可能となる決定が行われた。
また、衛星通信については、これまで、多数の非静止衛星を一体的に運用して高速大容量の通信サービスを提供する衛星コンステレーションの導入に必要な制度整備を行ってきたところ、携帯電話端末による衛星との直接通信サービスの実現等、引き続き周波数の確保、必要な制度整備等を推進していく。