自律的な自動運転技術においては、システムが行う認知、判断、操作の3つのプロセスにおいてAIの技術が活用されている。AIは、車両に搭載されたカメラやセンサから得られた周辺の情報を認識処理し、通行人や障害物を避けて車両を安全に走行させる。カメラやセンサからとらえた情報をもとに、前方を走行する車両や歩行者などがどのような挙動を見せるかなどの予測や、それらを踏まえて車両をどのように制御するべきかの判断や意思決定においても生成AIが活用されている。自動車の安全運転をサポートするのも、AIの活躍が期待されている重要な役割である。
さらに、生成AIによる学習機能により、高度なルート最適化が行えるようになったほか、生成AIの音声認識技術も活用されており、運転者の声で自動車に指示を出すことができる89。今後の完全自動運転の実現には、画像認識だけでなく、音声などを認識し搭乗者とのコミュニケーションを行うなど、様々な部分でマルチモーダルな生成AIが必要となっており、実際、自動車に生成AIを導入する動きが増えている。
世界の自動運転車の市場規模は、2021年に240億ドルを超えた。市場は今後も成長し、2026年には約620億ドルの規模に達すると予想されている(図表Ⅰ-3-2-6)。
8 NEC,「自動運転など自動車で活用されるAI技術の事例と今後の課題」,<https://www.nec-solutioninnovators.co.jp/ss/mobility/column/07/index.html>(2024/3/26参照)
9 自動運転LAB,「自動運転とAI(2023年最新版)」2023年7月7日,<https://jidounten-lab.com/u_35766>(2024/3/26参照)